我らの世代論~すべては努力と実力次第?
最近、世代論について考えている。
団塊の世代の人々の定年退職を間近に控えていること、バブル経済崩壊後の長い不況にも、そろそろ終わりが見えてきたこともあって、団塊世代とバブル経済を座標軸に、世代論が語られることが多いようだ。
1960(昭和35)年に生まれ、1983(昭和58)年に社会人となった自分は、どういう世代に属すると考えるべきなのか、団塊の世代と、団塊ジュニア世代の狭間にあって、どんな特徴があるのか、いつも考えているがなかなかうまく整理しきれていない。
貧乏クジ世代―この時代に生まれて損をした!? (PHP新書)
先日、読んだ70年代生まれの団塊ジュニア世代について書かれた『貧乏クジ世代』の中で、著者の精神科医の香山リカ女史(1960年生まれ)は、自分たちの世代について、次のように書いている。
私たちの世代では、偏差値が成績評価に導入されたり、大学入試センター試験の前身である共通一次試験が始まったり、徹底的に「すべてはあなたの努力と実力次第」という価値観を植えつけられた。「勝っても負けても自分のせい」だ。
この本では、団塊の世代は「勝てば自分の実力、負ければ社会のせい」と自己肯定感が強く、私たちの世代より少し下の世代は、バブルの盛りに社会に出たので「なんでもうまくいく」という根拠のない自己肯定感をもち、分析対象の70年代生まれの団塊ジュニアは「勝てばまぐれ、負ければ自分のせい」と自信が持てないと分析している。
自分の上下の世代のあり方、行動パターンについては、もう少し考えて整理してみようと思っているが、我らの世代についての「すべて、努力と実力次第。勝っても、負けても自分のせい」という主張には、同じ時代・同じ時間を生きてきた者として、『なるほど、そう言われればそうかも知れない』とものすごく納得してしまった。
私は、世代の特徴を形成する要素は、①親が子供に対してどういう教育をしたか、②本人が社会人になった後の数年間がどういう経済状況であり、そこで何を学んだかの2つだと考えている。①の親の教育の影響は言うまでもないが、②は言わば、新人時代にどういう社会人教育を受けたかということである。おそらく、入社後3年間くらいで、その人の社会人としての思考パターンの基礎は固まり、その後の行動に影響を与えると考えている。
不景気な時代に社会人生活をスタートさせた世代は、若い時から、厳しい現実を見聞きして、自ずと堅実な行動パターンになると思うし、逆に好景気からスタートすると、一番、考えなくてはいけない時期に、深く考えなくても物事がうまくいってしまうので、よく言えば楽天的、悪く言えば脇が甘い社会人になってしまう。ここでも、「三つ子の魂百まで」ということ言えるのではないだろうか。
我らの世代が社会人になったのは、大学卒であれば昭和58年、59年が中心であり、日本経済はオイルショック後の総需要抑制策による不況からようやく立ち直りの兆しが見え始めた頃だった。バブル景気が始まるまでには、まだ数年かかった。可もなく、不可もないニュートラルな時期だったと思う。
結果として、社会人になったからといって、従来の価値観が大きく変わることはなかった。「すべては、努力と実力次第。勝っても、負けても自分のせい」という学生時代からの価値観で、その後の社会人生活も過ごしてきたような気がする。
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