『下流社会』を読んで
三浦展(1958年生まれ)という人の書いた本『下流社会』(光文社新書)を読んだ。80万部も売れており、タイトルからして受け狙いのような気がして、今ひとつ読む気になれずにいたが、最近気になっている世代論を考える上で、避けて通れないと思い、手に取った。
これまで、香山リカ(1960年生まれ)の『貧乏クジ世代』のほかに、島田裕巳(1953年生まれ)著『宗教としてのバブル』(ソフトバンク新書)、山口文憲(1947年生まれ)著『団塊ひとりぼっち』(文春新書)などを続けて読んだが、得るところがあったのは、『貧乏クジ世代』とこの『下流社会』である。
『団塊ひとりぼっち』は団塊世代のアウトローである著者が、団塊世代を同時代人でありながら、やや距離もおいたところから第三者的に語ったもの。『宗教としてのバブル』は、宗教学者であり、団塊直後の世代である著者がバブルを一種の宗教ととらえ、その熱気を経験したことがある世代全体をバブル世代としてくくり、その経験のない現在の10代はそれを知らないこともあり、浮ついたところがなく極めて堅実と分析する。しかし、あまりあっと驚くような新しい知見を得るといったほどでもなかった。
一方、三浦氏の『下流社会』は、世代をひとまとまりの集団として分析しているわけではない。まず、世代を大きく①昭和ヒトケタ世代、②団塊世代、③新人類世代、④団塊ジュニア世代に分け、各種のアンケートで、自分の現在の暮らしを上流・中流・下流のどれと考えるかとの回答を軸に、さらにそれを世代別・男女別にブレークダウンして分析し、世代の特徴を分析しようとしている。
あくまで数少ないアンケートによる仮説としてではあるが、団塊ジュニア世代で自らを下流と評価する人の特徴は、自分らしさを求め、ひとりでいることを好む、人とコミュニケーションをとることが不得、などとしている。このような層にフリーター、ニートといわれる層も多く、所得も少なく、結婚もしていない(あるいはできない)。やや、乱暴にまとめるとこういったところだろうか。
かつての日本は、下流・下層の人でも、努力して勉強すれば、中流・上流へとステップアップするチャンスもあり、またそれを目指して、下層・下流の人にやる気と意欲もあったが、今の自分を下流と考える人たちには、将来の上昇に向けた意欲ややる気もなく、自分らしい生き方という言葉が、現状に甘んじる言い訳になってしまって、もし親になっても、子供にも「同じような生き方をすればいい」と育てることで、階層社会が固定化してしまい、日本全体の活力が低下することを著者は懸念している。
一方で、高学歴、高収入の自らを上流と考える人達は、子供にも、高いレベルの教育を受けさせ、自らの生活水準を維持しようとする。同じ生活水準・知識水準でないと、話が合わないので、結婚相手も自然と同じようなレベルの人を求めるので、ますます階層の固定化が進むのだ。
この議論では、どの階層であれ、それぞれの個々人が、それで本当に内面的に充実しているのか、満足しているのかという、心の問題には触れていない。
とはいえ、これまでの自分の親としての教育を振り返った時に、個性的であれと強調するあまり、より良い人生を送るため、しっかり勉強するということ・いい成績をとるということについて、こだわること、貪欲になれということは、あまりうるさくは言わずに来たのではないかということに気がついた。果たして、子供たちのためには、それで本当に良かったのか?考えさせられた一冊だった。(それで良かったと言える人生を、子供たちが送れるようサポートするしかないのだが…)
もう一つ、これまで気がつかなかった、視点があったが、それは次の機会に書くことにしたい。
『下流社会』関連記事
4月16日:『下流社会』を読んで(本編)
4月23日:『下流社会』を読んで②~男女雇用機会均等法の影響
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コメント
はじめまして!こんばんは!
内容が面白かったので、無名ブログながら記事掲載させていただきますm(__)m
ご迷惑でしたら、コメント削除しといてください。
なお、ご不明な点がございましたら「訪問者数」内の前書きへどうぞ。
投稿: 涼微 | 2006年12月18日 (月) 02時09分