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2006年5月 6日 (土)

「Shall we ダンス?」を見る

中年クライシスを、自分のブログのテーマに掲げていることもあり、「中年クライシス」をグーグルで検索したことがあった。その時、前原政之さんというフリーライターの方が書かれている「mm(ミリメートル)」というタイトルのブログの中の「『アメリカン・ビューティー』と中年クライシス」という記事に出会った。

その中で、「Shall we ダンス?」について

『Shall we ダンス?』の主人公(役所広司)は、ダンス教室の美しい教師に好意を抱き、社交ダンスに熱中することを通じて、中年クライシスを乗り越え蘇生する。

と書かれていたので、前から関心はある映画だったが、改めて見てみようという気になって、先週、レンタルビデオ店でDVDを借りてきて、今日ようやく見た。

たしかに、これは、中年サラリーマンの停滞と蘇生の物語だ。役所広司演じる主人公杉山は、ボタンメーカーの経理課長。28歳で結婚し、娘が1人。40代になって、郊外に念願のマイホームを手に入れた。しかし、マイホームのローンを返すために、更に頑張ろうという気になかなかなれない毎日の中、帰りの電車の中から見た、ダンス教室の窓に映る寂しげな美女に惹かれ、ダンス教室の門を叩く。窓の外を、寂しげに眺めていたダンス教室の講師舞先生(草刈民代)も、競技ダンスでのある事件が原因で傷つき、癒しと再生が必要だった。

物語は2人を軸に進んで行くが、いわくありげなダンス教室の生徒仲間たち(渡辺えり子、竹中直人等)のダンスへの思い、主人公杉山の妻(原日出子)や娘の夫・父を見るまなざし、そして、少し離れたところからこの人間模様を眺めていたダンス教室の年配のたま子先生の絶妙の舞台回し。

軽妙にコメディタッチに描かれており、一般的な映画の解説では、この映画はラブコメディに分類されるようだ。しかし、描かれた主題は深淵である。社交ダンスは、男女がペアで踊るものだ。映画の終盤、舞先生は杉山に当てた手紙の中で、自分に欠けていたものはパートーナーに対する「信頼」だったと語る。

周防正行監督が、ダンスという素材を通して本当に描こうとしたものは、夫婦のあり方だったのではないのか?という気がした。(さらに、場外の話題として、周防監督と主演女優の草刈民代が、この撮影終了後に結婚したというオチがついている)

1996年の公開で、その年の日本アカデミー賞を総なめにした名作だ。(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』の解説はここ

当時、まさに中年を迎えて、転機にあった団塊の世代の心をつかんだことが、大ヒットの要因だろう。この作品は海外でも、高く評価され、ハリウッドで、リチャード・ギア主演でリメイクされた。おそらく、中年の危機(ミドル・エイジ・クライシス)は、世界にも通じる課題なのだろう。極めて典型的な日本のサラリーマンを描いたローカルな作品が、普遍的なテーマを描き切ったと言えるだろう。

「Shall we ダンス?」関連の記事はこちら
5月6日:「Shall we ダンス?」を見る(本編)
5月13日:周防監督が書いた「『Shall we ダンス?』アメリカを行く」
6月5日:ハリウッド・リメイク版「shall we dance?」と日本の「shall we ダンス?」の違い
6月6日:リメイク版「Shall we dance?」が描こうとしたもの

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» Shall we ダンス? [Yasutakas GROOVE]
1996年大映ほか監督/周防正行  脚本/周防正行  出演者/役所広司 草刈民代 竹中直人 渡辺えり子 柄本明 徳井優 田口浩正 草村礼... [続きを読む]

受信: 2006年5月 7日 (日) 00時49分

» 本家 『Shall we ダンス?』 [*モナミ*]
仕事もそれなり、家庭もそれなり、子供もそれなり、 それなりの人生をそれなりに送ってた中年男が、 ある日突然、違う世界に踏み込んでしまった…。 そういうのがあったらいいなぁ、という、世の中年男性の、 夢物語みたいだけれど。 でも人間は、何かしら目的というか目標があるのとないのとでは、 全然違うんだろうなぁ。 いざダンス教室に足を踏み入れるまでの... [続きを読む]

受信: 2006年5月 7日 (日) 09時06分

» Shall we ダンス? (1996) [oga.のこだわり]
 平凡なサラリーマンの杉山(役所広司)は、いつも通勤電車から見えるダンス教室の窓にたたずむ女性・舞(草刈民代)が気になって途中下車、ついにダンス教室のドアを叩く。ところが初心者を教えてくれるのは初老の女性たま子(草村礼子)で、風変わりな青木(竹中直人)や三輪(柄本明)がダンスの相手。妻や子供にも隠しながらやがて腕を上げた杉山は、先輩の豊子(渡辺えり子)と組んでコンクールに出場することになるのだが…  社交ダンスブームを呼んで社会現象にもなった96年の話題作(もうあれから10年にもなるんやなぁ)... [続きを読む]

受信: 2006年5月 7日 (日) 10時41分

» 【Shall we ダンス?】   [ただの映画好き日記]
平凡なサラリーマンの杉山がふと見かけたダンス教室の美女・舞。悩んだ挙げ句、不純な動機で社交ダンスを習う事にしたのだが・・・。 Shall we ダンス? 1996年/日/周防正行 うふふ〜、とっても面白かったわ〜ん。 なかなかしっかりとした脚本で、監督さんのセンスもばっちりだった。なんといっても、テーマ自体、目の付けどころが良かったよね!原案、脚本、監督の周防さんにはびっくり!! ラスト、ちびっとウルッときました。あ... [続きを読む]

受信: 2006年5月 8日 (月) 17時38分

» Shall We ダンス? [bianca]
-------------------- allcinema ONLINEより -------------------- Shall We ダンス?(初回限定版)(通常版) (1996) メディア  映画 上映時間  136 分 製作国   日本 公開情報  東宝 初公開年月 1996/01/27 リバイバル → 角川映画-2005.3.12 ジャンル  コメディ/ドラマ 監督: 周防正行 製作: 加藤博之     漆戸靖治     大野茂     五十嵐一弘 原案: 周防正行 脚本: ... [続きを読む]

受信: 2006年5月20日 (土) 17時52分

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