ゲド戦記第3巻『さいはての島へ』
ゲド戦記第3巻『さいはての島へ』を読み終わる。
第3巻では、ゲドはローク島の魔法学院の大賢人となっている。しかし、アースシーの周辺部では、魔法が使われなくなり、ものの名前が忘れられ、人々は無気力になっている。世界の均衡にほころびが生じている。ゲドは、それを伝えに来たエンラッド国の王子アレンとともに、世界のほころびを生じさせている原因を突き止める旅に出る。アースシー世界の海を何日も航海し、南へ、西へと彷徨う。どこの島でも、魔法は忘れられ、人々は自分の幸せのみを求め、魂をなくし、死んだようになっている。最後に、さいはての島セリダーで、その原因を作り出していた敵をみつけ、対決する。
今回、語られるテーマは「生と死」であるが、同時に青年アレンの成長の物語でもあり、それを支えるゲドとアレンの関係は、親子を象徴しているようにも読める。ゲドは、旅の途上では、アレンに対し、決して多くを語らない。アレンは、時として、疑心暗鬼になりながら、自分で懸命に考え、答えを見いだしていく。
このあたりは、子育てにおいて、親が簡単に答えを教えてしまうのではなく、子どもが自ら学んで行くことを、我慢して見守ることの大切さを教えているようにも思える。
読む人の、年齢、経験や立場によって、幾通りもの読み方ができそうで、ひと言では到底語りきれない。
スタジオジブリのアニメ映画『ゲド戦記』は、この3巻がベースになるようだ。
均衡を失ったアースシー世界の人々の姿は、今の過去の日本人の美徳を忘れ、自分で考え、判断することを忘れ、自分さえ良ければいいという、現在の日本人の姿にそのまま重なるようにも読めて、アメリカで1972年に書かれたものでありながら、そのまま、今の日本人への問いかけにもなっていると思う。制作者側にも、それを問いかけたいという思いもあるようだ。
読み手の経験と感性で、いかようにも読める、深みのある作品を、映像化し、ひとつのイメージを作り上げてしまうことについての、賛否は当然あるとは思うが、映画にならなければ、ゲド戦記の世界にふれることのなかった多くの人々が、これを機会に、原作の世界に足を踏み入れることになれば、そのプラス効果の方が、より大きいと思う。1ヵ月後に、公開される映画の方も楽しみである。
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6月30日:ゲド戦記第3巻『さいはての島へ』(本編)
7月5日:ゲド戦記第4巻『帰還』
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8月5日:『ゲド戦記』宮崎吾朗監督のメッセージ
8月13日:映画『ゲド戦記』を見て
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