盆地の霧
今週、北海道で遭遇した「海の霧」について書いたが、もう一つ、北海道で遭遇した2度目の霧は、「盆地の霧」と言っていいと思う。
単身赴任で札幌にいた私は、年末年始、春休み、夏休みの3回家族を呼んだ。年末年始の札幌は当然にして雪の中。主に、市内を案内するだけだった。春休みも、まだ雪は至るところに残っていて、雪の支笏湖や、雪の羊蹄山を見て回った。
夏休みは、札幌から泊まりがけで、道東地域へ車を走らせた。摩周湖から車で15分ほどの摩周ユースホステルに宿を3泊確保し、そこを拠点に、摩周湖はもちろん、知床、阿寒湖、網走などを見て回った。
幸い、天気には恵まれたが、早朝はいつも霧の中だった。摩周湖があるのは、弟子屈町。(私は最初「でしくつ」と読むものだと思いこんでいたが、正しくは「てしかが」と読む)。摩周湖ばかりが有名だが、摩周湖の西には、日本最大のカルデラ湖である屈斜路湖がある。摩周湖も、火口に雨水がたまってできたカルデラ湖である(摩周湖には、流れ込む河川はないし、摩周湖を水源とする河川もない)。
弟子屈町は、西に摩周のカルデラ、東に屈斜路のカルデラに挟まれた盆地になっており、南北にはJRと幹線道路、東西には道路が走っており、弟子屈の町がその中心にある。
早朝、宿の周りが霧に霞む中、眠い目をこすりながら、デジカメを片手に、車で朝の摩周湖に出かけた。しばらく、霧の中を走る。平野だが、北に向かってわずかな登りになっている。5分ほど走ると、急に視界が開けた。霧から抜け出したのだ。さらに摩周湖の展望台にむかって、摩周のカルデラのを登る。
摩周湖第一展望台に着いた。朝の6時を少し回ったところ。
西側の弟子屈の盆地は一面の雲海。晴れていれば、見えるであろう屈斜路湖もまったく見えない。屈斜路湖の東、摩周湖との間にある硫黄山の山頂だけが、雲海から顔を出している。
そして、雲海のはるか遠くには雄阿寒岳が浮かび上がる。何とも、幻想的な景色だった。
『楽しい気象観察図鑑』(武田康男〔文・写真〕、草思社)には、霧について次のような説明がある。
よく晴れて風が弱い夜は、放射冷却という現象が強く起こり、地表の熱が宇宙空間に逃げていきます。これによって地表付近の気温が下がり、空気中の水蒸気が水滴となって空中に現れます。これが霧です。ふつう太陽が昇る直前に最も気温が下がるので、霧は朝方に濃くなります。(中略)
とくに盆地では冷えて重くなった空気が集まりやすく、霧がよく出ます。
(『楽しい気象観察図鑑』14、15ページ)
なるほど、よくわかる。そこだまりの重たい空気の層から抜けた時に、視界が開け、霧をぬけたと言うことだろう。また、太陽が昇り気温の上昇とともに、朝霧は消えていった。地表の温度が上がり、水滴が再び水蒸気となって言ったのだろう。本当は、こういう事を、子どもにすらすら教えられる父親になりたかったのだが…。これから、少しずつ、勉強し直すしかないだろう。
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