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2006年11月11日 (土)

毎晩眠ることの意味、『「普通がいい」という病』から

先週、『「普通がいい」という病』(泉谷閑示著、講談社現代新書)を読んだ。講談社現代新書の10月の新刊書のうちの1冊である。著者は、1962年、秋田県生まれの精神科医の先生。本に書かれた経歴を読む限り、雑誌などの記事は書いているようだが、本格的な著作はこれが初めてのようだ。

「普通がいい」という病~「自分を取りもどす」10講 (講談社現代新書)

書かれていることの底流にある著者の思いを私なりに要約すれば、
『私たちは、人と違うことをおそれ、普通であること=多数派であろうとして、多数派の価値観に知らず知らずに洗脳され、「自分で感じ、自分で考える」ということをいつしかやめてしまい、自分らしさを失っている。これまで、疑うことなく信じていた常識を疑い、もう一度、「自分で感じ、自分で考える」生き方を取り戻そう』
といったことになると思う。

このブログを書き始めた頃に取り上げた『生きる意味』(上田紀行著、岩波新書)とも通じる部分とも通じる部分がある。

この中で、著者が不眠を題材に「眠り」について語った部分が印象に残ったので、少し詳しく書いておきたい。

不眠とは、どの病態においても起こりうるとてもポピュラーな症状です。しかし、「眠らない」と「眠れない」の違いは何か、また不眠とはいったいどんなメッセージを運んできているのかといったことについては、あまり考えられてきていません。(中略)この不眠が告げるメッセージは何でしょうか。
これは、長い間私には謎でしたが、ふと、「毎晩眠るということは、毎晩死ぬことである」と思い至って、やっと解読の糸口がつかめてきたのです。そう考えてみると、「不眠とは死ぬに死ねない状態である」ということになる。「死ぬに死ねない」というのは、幕を下ろす気になれないということであり、「今日という日を生きたという手応えがない」という未練があることを示しているのです。
このように考えるようになってから、クライアントにも自分自身にも、一日の最後に眠れない場合には、「ほんの少しでもよいから、自分らしい時間を過ごすように」と勧めるようになりました。
(『「普通がいい」という病』223~224ページ)

「毎晩眠るということは、毎晩死ぬことである」という一文に「なるほど」と納得してしまった。自分らしい一日を過ごしたからこそ、心地よい疲れを感じ、心おきなく眠れるのかも知れない。食事の時、この話を家族にしたら、妻と長女も妙に納得していた。これからも、毎晩、自然と眠たくなるように、一日一日を自分らしく過ごすことを心がけよう。

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コメント

はじめまして。
トラックバックありがとうございました。

不眠に関する記述のところは、
私も「ほおおお!」と思い、食事のとき、
主人とあれこれ話しました。二人とも
とても納得しました。

記事の最後の「自然に眠たくなるように過ごす」
の「自然に」の言葉にも、なるほどと思いました。
私もそんな風に過ごしたいです。

投稿: Toko | 2006年11月23日 (木) 02時15分

「眠る」事について
ここまではっきりと書かれているものに出会うことができて
あらためて生活を振り返ろうと感じました。
差し支えなければ
自ブログにて紹介させていただければと思いコメントしました。
どうぞよろしくお願いいたします。

投稿: さわ | 2007年6月 5日 (火) 17時06分

さわさん、こんばんは。

半年以上前の記事を見つけて読んでいただき、恐縮です。
サワブログで紹介していただけるのは光栄です。書かれた記事をトラックバックしていただけるとうれしいです。

お時間があれば、ぜひ、泉谷さんの原著もお読みいただければと思います。

投稿: 拓庵 | 2007年6月 5日 (火) 20時13分

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