« 今日は「大雪」、ココログのメンテナンスは失敗 | トップページ | 今回で200タイトル »

2006年12月 8日 (金)

畠中恵の『しゃばけ』『ぬしさまへ』『ねこのばば』を読む

この1週間、新潮文庫の『しゃばけ』、『ぬしさまへ』、『ねこのばば』(いずれも畠中恵著、柴田ゆう挿画)を読んでいた。

   

『楊家将』を読んで、心理学や精神医学の新書も悪くはないが、たまには面白い小説を読むのもいいなと思い、書店の売り場をうろうろしていたら、妖怪変化を描いた怪しげなイラストに惹かれ、文庫になっていた3冊をまとめて買った。

話の舞台は、江戸時代。日本橋の廻船問屋「長崎屋」の若だんな「一太郎」の周りで起こる怪事件を、若だんなが解決していく推理ものなのだが、単なる推理小説というよりは、シリーズの1冊め『しゃばけ』の裏表紙のキャチコピーにある「大江戸人情推理帖」という説明がいちばんぴったりくるように思う。挿絵に出ている妖怪変化が、主人公の若だんなとどのような関係で、どんな活躍をするのかは、書きすぎると面白みがなくなってしまうので、読んでのお楽しみということにさせていただきたい。

シリーズ第1作めの『しゃばけ』は、2001年第13回ファンタジーノベル大賞(主催:読売新聞社、清水建設)の優秀賞受賞作で、若だんな一太郎が初登場の長編。その後の2冊は、若だんなと彼を巡る人々?を題材にした短編集で、廻船問屋「長崎屋」を舞台にした『しゃばけ』ワールドは、その奥行き、広がりをましており、読み手も、いつの間にかその世界に引き込まれてしまう。

さらに文庫化はされていないが、単行本で第4作『おまけのこ』(短編集)、第5作『うそうそ』(長編)と書き継がれており、さらに一太郎の少年時代を描いた『みぃいつけた』というイラストブック(絵本)も登場し、すでにシリーズで100万部を突破するヒット作になっているらしい。新潮社にホームページには、「しゃばけ倶楽部~バーチャル長崎屋~」というコーナーも設けられている。

新潮社の売れ筋の一つのようで、今回も『みぃつけた』の発売と『ねこのばば』の文庫化の機会に合わせ、キャンペーンを行っているようで、多くの書店で平積みで、このイラストが見えるように並べられているし、小説新潮の9月号では、著者のロングインタビューを掲載するなど、大変な力のいれようだ。

かくいう私も、文庫3冊を読んだところで、すっかり『しゃばけ』ワールドのとりことなってしまい、今日の帰り、残る2冊の単行本に、イラストブック、小説新潮まで買い込んできた。しばし、長崎屋の世界にひたるとしよう。

*『しゃばけ』関連の記事
2006年12月8日:畠中恵の『しゃばけ』『ぬしさまへ』『ねこのばば』を読む
2006年12月13日:畠中恵の『しゃばけ』ワールド第4作『おまけのこ』
2006年12月17日:畠中恵の『しゃばけ』ワールド第5作『うそうそ』を読み、シリーズ全体のテーマを考える

| |

« 今日は「大雪」、ココログのメンテナンスは失敗 | トップページ | 今回で200タイトル »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

書籍・雑誌」カテゴリの記事

歴史」カテゴリの記事

コメント

はじめまして!
トラックバックありがとうございました♪
こちらも早速トラックバックさせていただきました。
これからもよろしくお願いします!

しゃばけシリーズ、本当に面白いですよね。
第6弾、第7弾・・・とずっと続いてほしいシリーズですね!

投稿: miwa125 | 2007年1月14日 (日) 17時47分

miwa125さん、私が勝手に送ったTBにコメントまでいただきありがとうございます。畠中恵さんの「しゃばけ」ワールドは、独自の物語世界を確立し、ファンも多いので、まだまだ続くのではないでしょうか。楽しみですね。

投稿: 拓庵 | 2007年1月14日 (日) 21時29分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 畠中恵の『しゃばけ』『ぬしさまへ』『ねこのばば』を読む:

» ねこのばば(しゃばけシリーズ第3弾) [風と雲の郷(読書と時折の旅と・・)]
 「ねこのばば」(畠中恵:新潮社)を読んだ。おなじみ「しゃばけ」シリーズの第3弾である。前の2作が面白かったので、文庫化されるのを待ちかねていた。 この本も、前作の「ぬしさまへ」と同様短編集である。収められているのは、「茶巾たまご」、「花かんざし」、表...... [続きを読む]

受信: 2006年12月17日 (日) 08時04分

» しゃばけ [畠中恵] [+ ChiekoaLibrary +]
しゃばけ畠中 恵 新潮社 2001-12 江戸の大店の若だんな一太郎は十七歳。一粒種で両親から溺愛されているが身体が弱くすぐ寝込んでしまう。そんな一太郎を守るべく、手代に身を替えた犬神・白沢、屏風のぞきや小鬼が身の周りに控えている。ある夜、ひとり歩きをした一太郎は人殺しを目撃してしまう。あやかしたちの力を借りて下手人探しに乗り出すものの…。 おもしろかったー!なんでもっと早く読まなかったのかなぁと思いました。こういうの大好きです。畠中さんという方は、もともと漫画家さんを目指していたかただそ... [続きを読む]

受信: 2006年12月18日 (月) 11時52分

» しゃばけ/畠中恵 [Crescent Moon]
 江戸の大店の若だんな一太郎は17歳。 一粒種で両親から溺愛されているが身体が弱くすぐ寝込んでしまう。 そんな一太郎を守るべく、手代に身を替えた犬神・白沢、屏風のぞきや小鬼が身の周りに控えている。 ある夜、ひとり歩きをした一太郎は人殺しを目撃してしまう。...... [続きを読む]

受信: 2006年12月18日 (月) 13時02分

» しゃばけ〔畠中恵〕 [まったり読書日記]
2005年に読んだ本です。 文庫を古本屋で見つけたので、購入し再読。 しゃばけ 江戸有数の廻船問屋の一粒種・一太郎は、めっぽう体か弱く外出もままならない。 ところが目を盗んで出かけた夜に人殺しを目撃。 以来、猟奇的殺人事件が続き、一太郎は家族同様の妖怪と....... [続きを読む]

受信: 2006年12月24日 (日) 17時43分

» 「ねこのばば」畠中恵 [読書とジャンプ]
やっぱり畠中作品は時代ものが一押しです♪お江戸長崎屋の離れでは、若だんな一太郎が昼ごはん。寝込んでばかりのぼっちゃんが、えっ、今日はお代わり食べるって? すべてが絶好調の長崎屋に来たのは福の神か、それとも…(「茶巾たまご」)、世の中には取り返せないもの...... [続きを読む]

受信: 2007年1月14日 (日) 17時32分

» 『ねこのばば』 畠中 恵 [本を読みましょ]
しゃばけシリーズ第3弾の『ねこのばば』です。12月1日に文庫版が発売されたので、わくわくしながら読んでみました♪「茶巾たまご」、「花かんざし」、「ねこのばば」、「産土(うぶすな)」、「たまやたまや」の五編の短編集です。◆あらすじ◆茶巾たまご・・・廻船問屋兼...... [続きを読む]

受信: 2007年1月14日 (日) 17時33分

« 今日は「大雪」、ココログのメンテナンスは失敗 | トップページ | 今回で200タイトル »