句集『花柚』(植田房子著)から冬の句を2句
昨日、知人から『花柚(はなゆ)』という句集をもらった。植田房子さんという岡山在住の女流歌人の句集だ。この句集の中から、大岡信さんが選者をしている朝日新聞の「折々のうた」にも、一句選ばれているので、その道ではそれなりの評価を受けているのだと思う。
私は、俳句のことは、5・7・5で詠み、季語を織り込むことぐらいしかわからないので、どの句がいいなどとおこがましいことは言えないが、通読させていただいて、自分も同じような風景をみたことがあるなと思って、共感したものを2首ほど紹介してみたい。
時節柄、冬の句から2句。
門前に達磨となりて雪のこる
(植田房子『花柚』51ページ)
去年、東京で雪が降り、わずかながら積もった時、当時小5だった長男は、はしゃいで、暗くなってから外に出て、雪だるまを作っていた。その雪だるまが、数日間、家の前で融けかかりながらも、数日間、残っていたの思い出した。
私の仕事の関係で、1歳で富山に引っ越し6歳まで過ごした長男にとって、冬の雪はいつもすぐそこにある身近な存在だった。2人の姉や、近所の友達と雪合戦や雪だるま、時にはかまくらなども作り楽しんでいた。しかし、東京ではほとんど雪は降らない。また、私が札幌単身赴任した時の年末・年始、札幌に呼んだ時、雪は回りにいやと言うほどあったのだが、札幌の雪はサラサラしていて、雪玉にならないので雪合戦もできないとがっかりしていた。それ故、東京での珍しい雪に血が騒いだようだ。
黒豆に水を吸わする霜夜かな
(植田房子『花柚』54ページ)
おせち料理の定番メニュー黒豆。その黒豆を煮るためには、一晩水に浸しておかなければならない。霜が降りそうな寒い夜、水を張った鍋に眠る黒豆、その息づかいが聞こえてきそうな句だ。
なぜ、黒豆に目の句に目がいったのか。いま、私の減量作戦ののパートナーが黒豆である。あまり肉を採りすぎないように植物性タンパク質として、また食物繊維の供給源として、おせち料理の時期が終わっても、黒豆を食べている。
作者・詠み手の思いとは、全く違った解釈かもしれないが、鑑賞する側が自分の経験に照らして、共感・共鳴できるものを感じられれば、それがその人(鑑賞者)にとって、良い句なのではないかと、勝手に思っている。
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