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2007年2月19日 (月)

韓国ドラマ『私の名前はキム・サムスン』に関する本を読む

2月の3連休に見た韓国ドラマ『私の名前はキム・サムスン』が面白かったので、3冊ほど、このドラマに関する本を読んだ。

ドラマの原作本『私の名前はキム・サムスン』(チ・スヒョン著、ブックマン社)上下2冊と、『キム・ソナが案内する「私の名前はキム・サムスン」』(朝日新聞社)である。

後者は、ドラマの主演女優であるキム・ソナが長時間インタビューを受けて、全16話の撮影のエピソードなどを、1話ごとに語ったものだ。ドラマを見たものには、あの場面でそなエピソードがあったのかというような話が、ちりばめられていて、読んでいて飽きない。

また、後半は、この作品の出演を機に一気に人気がブレイクした共演者のヒョンビンのインタビュー、さらにキム・ユンチョル監督とキム・ソナ同席でのインタビュー、脚本家キム・ドウのインタビュー、最後に主演のキム・ソナが自らについて語る。

ここでは、監督と脚本家がこのドラマで何を描こうとしたのかについて、語ったところを紹介しておきたい。

・キム・ユンチョル監督(1966年生まれ)

韓国ドラマによくある”過剰さ”、とくに過剰なセンチメンタリズムというのは、たまにはいいと思います。しかし、個人的には大嫌いです。悲しみ、笑い、楽しさというものは強要されるものではなく、観客が自然に感じるべきものだと思います。だから、演出でも、俳優がわざとらしく飾るのはよくない、と。そういう意味では、このドラマは「センチメンタリズムの罠」にかからないように気をつけました。ドラマを通じて、そういう罠にかからないように頑張り、そのように表現できたと思います。
(『キム・ソナが案内する「私の名前はキム・サムスン」』152ページ)

簡単に言うと、この10年で社会情勢に大きな変化が起きたと思います。とくに、このドラマはいまの自由な社会を反映していると思います。俳優、監督、作家が望む望まないにかかわらず、ドラマというものは情勢と社会に影響されます、「サムスン」を例にあげると、これまでこんな女性を主人公にしたドラマはほとんどなかったのです。ということは、社会がそういう情勢を願っている、求めているのだと思います。
(『キム・ソナが案内する「私の名前はキム・サムスン」』153ページ)

・脚本家キム・ドウ

原作の前提枠(”契約恋愛”や”平凡な女性がお金持ちの御曹司とロマンスを作っていく”)があったので、そこから完全に離れることはできませんでした。でも、その枠を維持しながらも、その中で自由になろうと努力しました。それぞれのキャラクターや、キャラクターの関係、エピソードなど常にひねりを入れながら考えました。そして、”日常性”をもっと加えました。
私は、”日常性”があるキャラクターとエピソードが好きです。”日常性”は小さな話でも大きな効果を得られるという長所があり、それを描くのは私の得意分野でもあります。そんな小さなリアリティが具現化し、そして視聴者の共感を呼び起こしたと思います。
(『キム・ソナが案内する「私の名前はキム・サムスン」』160ページ)

女性が持っているあたたかさ、親密さ、思いやりの気持ち。そんなものが好きです。そして私自身、30代後半の平凡な女です。サムスンみたいなコンプレックスも持っています。
そういうわけで、この作品を通じ、何らかのメッセージを伝えようとしたというよりは(意図した部分もありますが)、ただ私の話、私のまわりの女性の話を書こうとしただけです。私が生きて感じることはほかの人々においてもかわらないと信じています。”普遍性”と表現したほうがいいでしょう。30代女性の”普遍性”が通じたのです。
(『キム・ソナが案内する「私の名前はキム・サムスン」』162ページ)

最後にインタビュアーから、このドラマの大人気の理由を問われた脚本家のキム・ドウさんは、「ただ、半歩先を行っていたこと!」というコメントで締めくくっている。

私は、韓国ドラマは、この『私の名前はキム・サムスン』以外は、『冬のソナタ』(札幌単身赴任中の全話見た)しか知らないので、韓国ドラマ全体を語る資格などないが、あれだけヒットし、確かに見る者の心を揺さぶる何かを秘めた『冬のソナタ』でさえ、そもそもの設定の不自然さ=リアリティのなさ、全編に流れるお涙頂戴式の情緒過剰なところは、気になるところであった。

監督と脚本家は、いわばそう言った従来の韓国ドラマのアンチテーゼとして、『私の名前はキム・サムスン』の脚本を書き、演出したようにも見える。

そして、主演女優のキム・ソナは、役作りのため8kgも体重を増やし、点滴を打ちながら演じたという。一方で、監督、脚本家から絶大な信頼を得た彼女は、劇中のいたるところで、アドリブを披露し、それが一層ドラマにリアリティを加えている。

時代の半歩先をいくことは、ドラマに限らず、仕事でも、自分自身の人生でも必要とされる事だろう。疲れた時は、ドラマ『私の名前はキム・サムスン』を見て笑い、時代の半歩先を見つめていきたい。

*韓国に関連する記事
2月13日:
韓国ドラマ『私の名前はキム・サムスン』を見る
2月14日:韓国について考える
2月19日:韓国ドラマ『私の名前はキム・サムスン』に関する本を読む
4月3日:NHKテレビのハングル講座に挑戦してみる

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