『リーダーシップの旅』(野田智義・金井壽宏著)を読み始める
昨日から、光文社新書の2月の新刊『リーダーシップの旅』(野田智義・金井壽宏著)を読み始める。
著者のうち、野田智義氏は1959年生まれで、NPO法人ISL(Institute for Strategic Leadership)というリーダーシップの塾を主催する経営学者。
一方の金井壽宏氏は1954年生まれで、現在神戸大学大学院で教鞭をとる経営学者であり、経営管理や組織行動が専門で、著書も多い。私は、昨年、金井さんの書いた『働くひとのためのキャリア・デザイン』(PHP新書)を読み、目から鱗の落ちる思いがした。(詳細は、2006年5月2日:「自分のためのキャリア・デザインを考える」を参照下さい))
本書は、野田氏の考えを広く知ってもらうため、金井氏が聞き手となる形で、対談し、その内容を再構成して、新書にまとめたものである。サブタイトルとして「見えないものを見る」とある。
リーダーになるのは、すごい人、特別な人で、自分には無理だし、縁がないと思っている人に対して、もともとリーダーに相応しい人がいて、その人がリーダーの仕事をするということではなくて、最初は、あることをやろうと思い立ち、自ら一歩踏み出すことがはじまりで、最初からリーダーだったわけではない、あることやり遂げることでリーダーになると言うのが、野田氏の主張である。上手く、要約できないので、少し本文から引用してみる。
リーダーシップは「見えないもの」を見る旅だ。ある人が、「見えないもの」、つまり現在、現実には存在せず、多くの人がビジョンや理想と呼ぶようなものを見る、もしくは見ようとする。そして、その人は行動を起こす。世の中ではよく、リーダーはついてくる人(フォロワー)を率いる、リーダーシップはフォロワーを前提とするなどと言われるが、私はそうは思わない。旅はたった一人で始まる。
フォロワーは旅の途中で現れる。リーダーと出会い、一緒に旅をする。しかも、この時点で、しばしばリーダーは自分のリーダーシップには気づかない。見たいものを見、やりたいことをやり、自身が描く目標に向かって歩いているだけで、自分がリーダーシップを発揮しているとは意識しない。リーダーとフォロワーが、実現したい何かに向かって、ともに旅という時間と空間を過ごすプロセスで、お互いの共振関係が生じる。決して、一方的な関係ではなく、相互の影響がそこにはある。その中で、リーダーが見る「見えないもの」がフォロワーにも共感され、いつしかフォロワーの目にも「見えないもの」が見え始める。そんなリーダーの行動がフォロワーに向けて醸し出す「フェロモン」と、フォロワーがリーダーに感じる賞賛によって、リーダーシップは結果として成立する。リーダーは、リーダーになろうと思ってなったわけではなく、「結果として」リーダーに「なる」のだ。
(『リーダーシップの旅』21~22ページ)
「見えないも」のを見て、それを実現しようと行動を起こすことから、リーダーの第一歩なのだ。これは、身の回りにもいくらでもある題材であろう。「こうすれば、もっとよくなるのに」と思った時、行動に移せるか、それに共感し、一緒に行動してくれる仲間がいれば、それはリーダーへの一歩だろう。
自らを語り、自らの夢を語ることで、人が動いてくれるかが、リーダーシップということであろう。他の、リーダーシップ論との比較も面白いだろう。読み終わったところで、改めて、考えたい。
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