韓国について考える
昨日、韓国のラブ・コメディ・ドラマ『私の名前はキム・サムスン』こついて書いた。この作品は、現代韓国社会の姿を教えてくれるのぞき窓としても、大変、面白かった。
携帯電話を常に身につけ、メールを頻繁にやりとりする主人公たち。かかってきた電話に敢えて出ないといった恋の駆け引きもある。街の風景も、ホテルや空港の雰囲気も、ハングルの看板や表示がなければ、日本が舞台だと言われても、分からないだろう。
私が韓国に興味を持ったきっかけは、私が大学1年だった1979(昭和54)年10月に起きた朴正煕(パク・チョンヒ)大統領の暗殺事件である。しかし、当時の新聞やテレビニュースでの、事件の解説を読んだり、聞いたりしても、さっぱり分からない。暗殺事件を、韓国の歴史の中で、あるいは日韓の歴史の中で、正確に理解し、位置づけることができなかった。
隣国韓国について、驚くほど何も知らないことを、その時に実感し、特に、明治維新以後、日韓併合までのの日韓の近代史については、自分なりに勉強した。
在学した経済学部のゼミで日本経済史を選び、明治日本の朝鮮半島進出の一翼をになった、日本の資本による京城(ソウル)-釜山(プサン)間の鉄道建設をテーマにゼミの論文を書いた。
それらを通じて、思ったのは、日本の学校教育では、隣国である韓国及び朝鮮半島の歴史について、細切れにしか教えられておらず、ほとんど何も知らないのも同然でということであった。
日本の中にある妙な優越意識と歴史についての無知、韓国の側での反日教育、当時は、韓国も軍事独裁体制にあったこともあり、お互いを正しく理解し、接していくには、とてつもなく大きな壁があるような気がした。
その後、私自身も社会人になってからは、長女の幼稚園の同級生に、仕事で日本に来ていた韓国人一家の男の子がいたというのが、数少ない韓国との接点であり、特段、日韓関係を意識することなく過ぎてしまった。
転機が訪れたのは、『冬のソナタ』の日本での大ヒットだろう。これをきっかけに、2003年あたりからいわゆる韓流ブームが起きた。いまや韓国ドラマや映画は、レンタルショップでも、一定のスペースを確保し、完全に日本にもとけ込んでいる。『私の名前はキム・サムスン』も、そのような流れの中で、日本にも紹介されたものである。
文化交流という言葉がよく使われるが、例えば日本と韓国の違いについて、いくら小難しい本を読んでも、なかなか、ぴんと来ない。むしろ。ドラマや映画を通じて、生活習慣や日常を知ることの方が、百聞は一見にしかずで、理解が早い。
大きな壁に、小さいけれど少し風穴が開いたのではないかという気がする。
ささやかな個人ベースの文化交流として、これからも、韓国ドラマ・映画の良質なものについて、選んで見ていこうと思っている。また、いつか機会を見つけて、韓国を訪ねてみたいとも考えている。
*韓国に関連する記事
2月13日:韓国ドラマ『私の名前はキム・サムスン』を見る
2月14日:韓国について考える
2月19日:韓国ドラマ『私の名前はキム・サムスン』に関する本を読む
4月3日:NHKテレビのハングル講座に挑戦してみる
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