将棋プロ棋士の2006年獲得賞金・対局料(2006年)ベスト20に思う
先日発売された『将棋世界』の2007年4月号に2006年のプロ棋士の「獲得賞金・対局料ランキングベスト20」という記事が出ていた。
ベスト10は以下の通りだ。
順位 | 棋士名 | 金額(万円) | 前年 |
1 | 羽生善治三冠 | 9,376 | 10,391① |
2 | 佐藤康光棋聖 | 7,576 | 5,040④ |
3 | 森内俊之名人 | 6,536 | 7,117② |
4 | 渡辺 明竜王 | 5,654 | 6,194③ |
5 | 谷川浩司九段 | 3,205 | 2,844⑤ |
6 | 丸山忠久九段 | 3,116 | 1,898⑫ |
7 | 藤井 猛九段 | 2,506 | 1,981⑨ |
8 | 鈴木大介八段 | 2,277 | 1,479⑮ |
9 | 郷田真隆九段 | 2,159 | 1,934⑪ |
10 | 森下 卓九段 | 1,989 | 1,622⑬ |
上位4名はタイトルホルダー、残り之ベスト10以内の顔ぶれは、昨年のタイトル戦の挑戦者や、その他棋戦の優勝、高額賞金で知られる竜王戦で活躍したなどである。
将棋界のスーパースター羽生善治三冠にしてようやく1億円に届くか届かないかといったレベルである。10位の森下九段で2000万円を下回り、20位の先崎学八段で1,152万円である。ゴルフや野球といったプロスポーツと比べると、ずいぶん少ないように思うのは私だけだろうか。20位の先崎八段クラスであれば、同年代(先崎八段は36歳)の一流企業のサラリーマンであれば、十分稼げる年収であろう。
まして将棋界には、150名を超える現役プロ棋士がいる。少年時代から、天才・神童と言われたような才能が、競い合ってプロになるための狭き門をくぐり抜けて、晴れてプロ棋士になっても、上位10人に入ってようやく賞金2000万円ということであれば、その明晰な頭脳を将棋にのみ使ってプロ棋士になることが、本人にとって本当に幸せなのだろうかなどと余計なことを考えてしまう。
一方で、所詮、将棋のタイトル戦もスポンサーあってのこと。今は、新聞社がメインのスポンサーだが、メディア・イベントとしての価値がある、購読者が注目する話題になるからこそ、多額の賞金を投じて棋戦を運営しているのだと思う。人口減少が進み始めた中、結局、将棋界、そして棋士ひとりひとりが一人でも多くの将棋ファンを作り、将棋人口を裾野の広げていかないと、イベントとしての価値も低下してしまい、ジリ貧になっていまう。まして、新聞という媒体の存在自体が、インターネットの存在によって、揺らいでいる。
そのあたりの構造変化に危機感を感じ、敏感に反応しようとしているのが、現在の将棋連盟の米長邦雄会長とそれを支える執行部であろう。タイトルホルダーと将棋ソフトとの対戦や、従来の対面式による対局ではなくインターネット対戦による棋戦の開始など、新しい試みを次々と打ち出している。
ファンの裾野を広げ、ネット社会で自らのポジションを確保できるかで、現役プロ棋士達の今後の年収も変わってくることだろう。当分、将棋界の動きはウオッチしていくつもりだ。
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