5度目の正直、佐藤康光棋聖、棋王位獲得
2006年度の将棋界は、佐藤康光棋聖抜きに語れない。名人戦と、自らタイトルを持つ棋聖戦以外の5つのタイトル戦に挑戦者として名乗りを上げ、かつて羽生善治三冠が作った4タイトル連続挑戦を上回る、5タイトル戦連続挑戦という新記録を樹立している。
6月の始まった棋聖戦では、3戦全勝で挑戦者の鈴木大介八段を降し、5連覇で一気に永世棋聖の資格を手にしたが、その後7月からの王位戦は2勝4敗で、9月からの王座戦では3連敗に羽生三冠の防衛を許し、10月からの竜王戦では、20代の渡辺明竜王に2連勝しながら、3連敗。6戦目を制してフルセットに持ち込んだが、最終戦で力尽きた。
挫けることなく、年末年始には、王将戦で丸山忠久九段、棋王戦で深浦康市八段との決定戦を制し、挑戦者に名乗りを上げる。
しかし、1月から始まった王将戦では、羽生善治三冠を相手に、初戦を制したあと、3連敗したものの、2つ返し、第7局に持ち込んだものの及ばず、羽生王将は王将在位通算10期で永世王将資格を得た。
挑戦した5つのタイトル戦のうち4つはタイトルホルダーの防衛を許し、いよいよ残るは、2月から始まった森内俊之名人・棋王に挑戦する棋王戦のみとなる。王将戦と同時並行で進む中、全て先手番が勝つという珍しい結果で4局目までを終え、2勝2敗と最終局を迎えた。
棋王位を賭けた最終戦第5局は、今日(2007年3月28日)、東京の将棋会館で行われた。フルセットとなったタイトル戦の最終局は振り駒で先手・後手を決めるが、今回は佐藤棋聖が先手。
激戦の末、18時51分、105手で佐藤康光棋聖が、森内俊之棋王を破り、新棋王となった。
佐藤棋聖は、年間5度のタイトル挑戦がようやく最後に結実し、棋聖・棋王の二冠をつかんだことになる。本人も、5度目の正直に、安堵しているのではないだろうか。
棋王位は、1990年から2001年まで羽生善治現三冠が12連覇し、永世棋王も将棋界でただ一人資格を持っている。王座戦と並び羽生三冠の指定席の観があったが、その後2002年に丸山忠久九段が羽生棋王を破って棋王となってから、谷川浩司九段、羽生善治三冠、森内俊之名人と毎年、挑戦者がタイトルを奪うという棋戦になっており、今回も挑戦者佐藤棋聖が勝利した。来期、佐藤新棋王が、棋聖位と棋王位も二冠を防衛出来るかも、新たな見所になるだろう。
しかし、今日のところは、何はともあれ、佐藤新棋王おめでとうございます。
*将棋に関する記事(2007年)
1月8日:佐藤康光棋聖、5連続タイトル戦挑戦者
1月17日:佳境を迎える将棋A級順位戦、郷田真隆九段へのエール
2月2日:祝・郷田真隆九段、A級最終戦を残し、第65期将棋名人戦での森内俊之名人への挑戦権獲得
2月3日:第65期将棋A級順位戦8回戦の詳細
2月3日:郷田真隆九段、父の死を知らず
2月3日:将棋永世名人位の重み
2月10日:将棋第65期順位戦B級1組第12回戦の結果分析とB級2組での渡辺竜王の昇級確定
2月12日:「名人は選ばれたものがなる」-郷田真隆名人待望論
3月3日:将棋界の一番長い日、将棋第65期A級順位戦の最終局の結末
その他このブログの過去の将棋の記事の一覧はこちら→アーカイブ:将棋
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