将棋界の一番長い日、将棋第65期A級順位戦の最終局の結末
昨日(2007年3月2日)は、将棋の第65期A級順位戦の最終局である第9局が東京の将棋会館でいっせいに行われた。
既に、2月3日の第8局を終わった時点で、森内俊之名人への挑戦権は7勝1敗で、郷田真隆九段が獲得。一方、下位2名の降級争いのうち1名も、今期B級1組からの昇級組の一人阿部隆八段に決まっている。
最終局の関心は、残るもう一人の降級者が誰になるかである。候補者は8局終了の時点で、3勝5敗の3名。今期のA級順位の上から、丸山忠久九段、久保利明八段、深浦康市八段となる。同成績の場合は、順位が下位の者が、降級となるので、3人とも「勝ち」、あるいは3人とも「負け」の場合は、深浦八段の降級となる。順位が最も下の深浦八段は、とにかく自分が勝って、上の2人のどちらかが敗れることを期待するしかない。
3月3日の1時36分の毎日インタラクティブの記事には「4勝5敗6人、郷田九段は最終局に敗れて7勝2敗」とあるので、各局の結果は以下の通りとなる。
(第65期A級順位戦最終局)
勝ち | 成績 | 負け | 成績 |
谷川浩司九段 | 6勝3敗 | 藤井猛九段 | 4勝5敗 |
羽生善治三冠 | 6勝3敗 | 三浦弘行九段 | 4勝5敗 |
久保利明八段 | 4勝5敗 | 佐藤康光棋聖 | 4勝5敗 |
丸山忠久九段 | 4勝5敗 | 郷田真隆九段 | 7勝2敗 |
深浦康市八段 | 4勝5敗 | 阿部隆八段 | 2勝7敗 |
この結果、A級棋士10名の最終成績は次のようになるだろう。
順位 | 名前 | 成績 | 来期 |
1 | 郷田真隆九段(4) | 7勝2敗 | 名人かA級1位 |
2 | 谷川浩司九段(1) | 6勝3敗 | A級2位 |
3 | 羽生善治三冠(2) | 6勝3敗 | A級3位 |
4 | 佐藤康光棋聖(3) | 4勝5敗 | A級4位 |
5 | 丸山忠久九段(5) | 4勝5敗 | A級5位 |
6 | 藤井猛九段(6) | 4勝5敗 | A級6位 |
7 | 久保利明八段(7) | 4勝5敗 | A級7位 |
8 | 三浦弘行八段(8) | 4勝5敗 | A級8位 |
9 | 深浦康市八段(9) | 4勝5敗 | B級1組降級 |
10 | 阿部隆八段(10) | 2勝7敗 | B級1組降級 |
*名前の後ろの( )は、第65期のA級での順位
深浦八段は勝ったものの、丸山九段、久保八段も勝ったために順位の差で、降級が決まった。深浦八段は、前々期初めてA級に昇級した際も、4勝5敗が5人という混戦の中、順位の差で涙を飲んだ。今期も、今一歩及ばなかった。しかし、今期、名人挑戦者となった郷田九段も2度の降級からはい上がり、3回めの昇級にしてA級定着を果たした。朝日オープンを制したこともある実力者深浦八段には、捲土重来を期し、三度めのA級入りを目指してほしい。
最終結果だけを見れば、今期の順位4位だった郷田九段が、1位に繰り上がり名人挑戦者となった以外は、今期の順位通りの成績となった。
(なお、佐藤康光棋聖は、四段昇段以来、順位戦での勝ち越しを続けていたが、今期で途切れることになった)
来期のA級昇級者2名を決めるB級1組の最終局は、2週間後の3月16日である。
現在、8勝3敗で並ぶ木村一基七段と行方尚史七段が勝ってすんなり昇級を決めるのか、前期のA級からの降級者でB級1組順位トップの鈴木大介八段が、7勝4敗から8勝4敗に星を伸ばし、先行する2名のどちらかの取りこぼしで1期でA級返り咲きを果たすのか、こちらも気になるB級1組の一番長い日である。
*将棋に関する記事(2007年)
1月8日:佐藤康光棋聖、5連続タイトル戦挑戦者
1月17日:佳境を迎える将棋A級順位戦、郷田真隆九段へのエール
2月2日:祝・郷田真隆九段、A級最終戦を残し、第65期将棋名人戦での森内俊之名人への挑戦権獲得
2月3日:第65期将棋A級順位戦8回戦の詳細
2月3日:郷田真隆九段、父の死を知らず
2月3日:将棋永世名人位の重み
2月10日:将棋第65期順位戦B級1組第12回戦の結果分析とB級2組での渡辺竜王の昇級確定
2月12日:「名人は選ばれたものがなる」-郷田真隆名人待望論
3月3日:将棋界の一番長い日、将棋第65期A級順位戦の最終局の結末
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