森内名人と郷田九段の第65期名人戦、波乱の幕開け
森内俊之名人に郷田真隆九段が挑戦する第65期将棋名人戦7番勝負の第1局が、今日(2007年4月10日)から山口県長門市で始まった。
郷田ファンの私としては、なるだけリアルタイムで情報を得たいので、主催社である毎日新聞とニフティの月額500円の有料サービスである「名人戦棋譜速報」が見られるように、を昨日の夜申し込みをした。
今日帰ってきて、さっそくログインし第1局の1日目の様子を見てみると、ちょっとした事件が起きていた。
森内名人の長考中、郷田九段が扇子を鳴らす音が気になって、「自分の手番の時はやめて欲しい」と名人が郷田九段に直接申し入れをし、一時、口論にもなったらしい。
立会人を介しての協議のため30分ほど対局が中断し、最終的には、郷田九段も「配慮する」とのことで、対局は再開したようだ。
将棋の方は、後手の森内名人が26手目を封じて、1日目が終了。まだ、序盤の駒組みの段階で、大きな駒のぶつかり合いもなく、決戦は明日というところだ。
森内俊之名人は1970年10月生まれの36歳。郷田真隆九段も1971年3月生まれの36歳で同学年である。
(さらに羽生善治三冠、A級棋士の丸山忠久九段、藤井猛九段の3人が1970年9月生まれと、1つ年上の佐藤康光棋聖・棋王も含め、「羽生世代」と呼ばれるほど、才能が集中している。)
先日も取り上げた『将棋世界』2007年5月号の郷田九段のインタビューで、郷田九段は森内名人についてこう語る。
「森内さんのことは修業時代からというか、それこそアマチュアの頃から知っています。定期的に将棋を指したり、旅行をしたり。お互いがお互いのことをよく知っているので、これといって対策を立てるということはありません。もちろん、作戦的なことは考えますし、準備はしますけど。修行時代には二人で名人戦で指すということは想像できなかったので、『ここまできたか』という思いはあります」
(『将棋世界』2007年5月号16ページ)
お互いにお互いをよく知っているだけに、森内名人には扇子の音が気になりだしたら、ひと言言わずにはいられなかったのだろうし、郷田九段としても、つい言い返してしまったということではないだろうか。
森内名人は、今回防衛に成功すれば、名人位5期となり、羽生善治三冠に先立って永世名人(18世名人)の資格を得られるというこれまでとは違った要素が加わっている。更に、先月、棋王戦5番勝負で佐藤康光棋聖とフルセットの戦いの末、敗れて棋王位を失っている。二冠から名人位のみとなり、このシリーズに敗れれば無冠というプレシャーもあるのかも知れない。それらもあって、神経過敏にんっていた面はあるのかも知れない。
明日の第1局2日目は、お互い相手の立場に配慮した上で、将棋の内容では、「さすが名人戦に相応しい内容」と言われる戦いをして、波乱の幕開けを見てのファンの心配を一掃してほしい。
*将棋に関する記事(2007年)
1月8日:佐藤康光棋聖、5連続タイトル戦挑戦者
1月17日:佳境を迎える将棋A級順位戦、郷田真隆九段へのエール
2月2日:祝・郷田真隆九段、A級最終戦を残し、第65期将棋名人戦での森内俊之名人への挑戦権獲得
2月3日:第65期将棋A級順位戦8回戦の詳細
2月3日:郷田真隆九段、父の死を知らず
2月3日:将棋永世名人位の重み
2月10日:将棋第65期順位戦B級1組第12回戦の結果分析とB級2組での渡辺竜王の昇級確定
2月12日:「名人は選ばれたものがなる」-郷田真隆名人待望論
3月3日:将棋界の一番長い日、将棋第65期A級順位戦の最終局の結末
その他このブログの過去の将棋の記事の一覧はこちら→アーカイブ:将棋
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