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2007年4月 8日 (日)

佐藤多佳子さんが語る『一瞬の風になれ』執筆の舞台裏

昨日(4月7日)に、佐藤多佳子さんの青春小説『一瞬の風になれ』が、2007年の本屋大賞を受賞したことを書いたが、昨日の朝日新聞の夕刊に、作者の佐藤さんを取材した記事が出ていた。

この記事では、『一瞬の風になれ』のあらすじが次のようのコンパクトに書かれている。

主人公の「新二」は、幼なじみの天才スプリンター「連」の美しい走りを見て陸上部に入る。2人を中心に、陸上部の部員たちは少しずつタイムを縮め、きずなを深め、成長していく。
(4月7日朝日新聞、夕刊)

作品は「1(イチニツイテ)」「2(ヨーイ)」「3(ドン)」の3冊からなっており、それぞれ、新二の高校1年、2年、3年に見合っている。「吉川英治文学新人賞」と「本屋大賞」の2つの賞をとっているが、その前からTBSの「王様のブランチ」の読書コーナーで話題になったり、「本の雑誌」の2006年度年間ベスト10の1位に選ばれたりとマスコミでもたびたび取り上げられており、すでに、3部で70万部を超えるベストセラーになっているとのことで、本屋大賞の受賞でさらに話題になり販売が伸びるだろう。

佐藤さんは、この作品について次のように語っている。

「どんな仕事も終わるのはうれしいのに、これは書いているのが楽しくて、書き終わるのが嫌だと初めて思いました」
(4月7日朝日新聞、夕刊)

物語は、新二と新二の通う春野台高校陸上部の400mメンバーがインターハイの地区予選を終え、全国大会に向け心新たにするところで幕を閉じる。
でも「まだまだ、終わってほしくない」。新二や連をはじめ、春野台高校の陸上部のメンバーの青春をもう少し見ていたい。彼らが、全国大会のグランドで、各県の強豪チームと競い合うところまで、一緒に見守っていたかったというのが、多くの読者の読み終わった時の気持ちだったと思う。
作者自が、まだ終わりたくないと思いつつ筆を置いたことが、作品の余韻となって読者にも響いてきているのだろう。

私は高校時代陸上部で、主に短距離を専門にしていたので、自分の高校時代と重ね合わせるように読んだ。陸上競技の大会や練習の描写が、実にリアルで、作者の佐藤さんが本人が高校時代、短距離を走っていたのだろうと思っていたが、記事にはこう書かれている。

取材から執筆まで4年をかけた。高校や競技会場に取材に行き、部員に話を聞いた。
(4月7日朝日新聞、夕刊)

読んでいくと、「新二」という主人公の1年毎の成長が実に丹念に描かれている。また、陸上部という組織が、毎年最上級生が卒業し、新入生が入部して来て、伝統を伝えながらも、それぞれ個性の違いもあり、毎年決して同じではありえないことを、「新二」と「連」の2人以外の部員を個性も描き分けることで表現している。
物語の中の3年という時間以上の取材が行われていたからこそ、書けたのだろう。

佐藤さんは、こうも述べている。

「持っている力は人それぞれ。他者との比較では勝負にならないこともある。でも、自分の力の最低と最高の間には、考えるよりも幅がある。自分の持てる最高の力を出すのは、すばらしい瞬間だと思う」
(4月7日朝日新聞、夕刊)

そして、この作品『一瞬の風になれ』については、

「これ以上できないというところまで、書いたつもりです」(4月7日朝日新聞、夕刊)

「自分の力の最低と最高の間には、考えるよりも幅がある」との一節は、耳が痛い。自分も、「持てる最高の力を出すべく努力しなくては」と、改めて、背中を押された気がする。

昨日も書いたが、『一瞬の風になれ』をまだ、読まれてない方は、ぜひ読んで欲しい。

*関連記事
1月25日:陸上部の青春を描く『一瞬の風になれ』(佐藤多佳子著)(1)イチニツク
1月28日:『一瞬の風になれ』(佐藤多佳子著)(2)ヨウイ
1月31日:『一瞬の風になれ』(佐藤多佳子著)(3)ドン
4月7日:2007年本屋大賞、『一瞬の風になれ』(佐藤多佳子著)に決定
4月8日:佐藤多佳子さんが語る『一瞬の風になれ』執筆の舞台裏
4月26日:佐藤多佳子さんが語る『一瞬の風になれ』執筆の舞台裏・その2
4月28日:佐藤多佳子さんが語る『一瞬の風になれ』執筆の舞台裏・その3

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