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2007年5月27日 (日)

英国エリザベス女王を描いた映画『クィーン(The Qeen)』

イギリスのエリザベス女王を描いた映画『クィーン』を見た。

1997年8月、すでにチャールズ皇太子と離婚していたダイアナ元皇太子妃が、パリで自動車事故で亡くなった。この映画はダイアナ元妃が亡くなってからの1週間のエリザベス女王と英国王室、その年の5月の総選挙に勝利して就任したばかりのトニー・ブレア首相を主な登場人物として描かれている。

皇太子と離婚し王室から離れたダイアナ元妃は、王室から見れば、公式には何の関係もない存在。唯一の関係は、チャールズ皇太子との間にもうけた2人の王子(将来の英国王)の母であることである。ダイアナの死に対し、公式なことは何もしようとしない王室。女王の夫エジンバラ公、チャールズ皇太子などのロイヤル・ファミリーの言葉のはしばしに、王室とダイアナ妃の間で確執があったことを窺わせるフレーズが登場する。一方で、ダイアナを慕う国民は、王室に不満を募らせる。新聞の1面にも、王室を非難する記事ばかりが載る。

国民と王室の間で、なんとか調整を図ろうとするブレア新首相。5月の総選挙での圧倒的勝利で首相となったブレアは、国民の意向を背景に、女王に翻意を促そうとする。頑として態度を変えない女王。
しかし、あることがきっかけで、ブレア首相も女王の強い意志と深い孤独を知り、なんとか女王を支えようとするようになる。

エリザベス女王を演じたヘレン・ミレンは、本作品でアカデミー賞主演女優賞を受賞した。容姿がよく似ているということもさることながら、一国の元首・女王の孤独感、深い悲しみの巧に表現していることが受賞の理由だろう。映画の中盤で登場する背中で泣くシーンは圧巻である。

英国王室の日常を語る物語でもあり、英国現代史の一面を語る物語でもあり、それを通じて1人の女王その人を描いた物語である。

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» クィーン [ぁの、アレ!床屋のぐるぐる回ってるヤツ!]
ノンフィクション系の映画も流行ですが、これは前代未聞! こんな映画が作られること自体すごいです。 女王はすごい! ブレアはすごい! ...ってことで絶妙に面目を保ったことで映画化に成功しえたわけでしょう。 ... [続きを読む]

受信: 2007年5月31日 (木) 10時31分

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