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2007年6月23日 (土)

第65期将棋名人戦最終局を前に、再び「郷田真隆名人待望論」

来週6月28日・29日には、いよいよ第65期将棋名人戦の最終局である第7局が、愛知県蒲郡市で行われる。

森内俊之名人、挑戦者郷田真隆九段とも3勝3敗で迎える最終局第7局、この1局を制したものが第65期名人となる。
森内名人が勝って防衛に成功すれば、名人位5期となり羽生善治三冠に先んじて永世名人(18世名人)の資格を得る。郷田真隆九段が勝てば、実力名人制に移行してから13人目の名人誕生となる。

私はこのブログで、郷田真隆九段が挑戦者に決まった後、 ”「名人は選ばれたものがなる」-郷田真隆名人待望論”という記事を書き、そこで次のように書いた。

「名人は選ばれた棋士がなるもの」という言葉の中には、その時代の将棋ファン、広くとらえれば社会一般の人々が望む「物語」や「ドラマ」を、一身に引き受けて演じてみせられるかということが含まれているのではないかと思う。

名人戦7番勝負開始前の時点では、人々が望む「物語」としては、2度のA級陥落にもかかわらず、3度めのA級昇級を果たし名人挑戦者になるという「不屈」の人であること。
「ドラマ」としては、名人挑戦を決めた大阪で行われた第65期A級順位戦第8局の朝、お父さんが亡くなっていたことを知らずに阿部隆八段との勝負に臨み、勝ち、名人挑戦が決まったあとにそれを知らされたこと。
その2つをもって、「「物語」や「ドラマ」は十分に備えている。」と書いた。

第6局までを終えて、「ドラマ」については、第6局での敗戦確実の局面から驚異的な粘りで18世名人をほぼ手中に収めていた森内名人のミスを誘い、「世紀の大逆転劇」を演じるという将棋界でこれ以上の「ドラマ」はないという「ドラマ」を演じて見せた。
郷田九段は、挑戦が決まったあとの『将棋世界』2007年5月号のインタビューでは

「私は自分の将棋に自負を持っています。盤上に情熱を賭けているので、言葉で伝えるよりも将棋を指すほうが心情を出せるという感覚がある。私の将棋を観ていただければ、絶対に損はさせませんので」(『将棋世界』2007年5月号17ページ)

と語っているのだから大したものである。郷田九段本人も、将棋がファンに観てもらい、そのファンを満足させることで成り立つ世界であることを理解している。時代が、人々が望むドラマを演じることができる棋士だろう。

私が前回の記事で書いたことのもう一つに「あと大事なことは、どれだけ、郷田名人を待望する機運が広がるかだろう。」ということがある。これを正確に知ることは難しいが、第6局まで毎回その結果についてこのブログに記事を書いてきた。それらの各記事へのアクセスを見ていると、限られた小さな窓を通しての推論であるが、今回の名人戦では森内名人よりも郷田九段を応援する人の方が多いのではないだろうかと思う。

このブログで、第65期名人戦の各局の勝敗について書いた記事と昨日までのその総アクセス(ユニークアクセス)数は次の通りだ。

第1局(4月11日)
第65期将棋名人戦、郷田真隆九段初戦を制す
→ 834(665)アクセス

第2局(4月25日)
第65期将棋名人戦第2局、挑戦者郷田真隆九段、後手番を制し連勝
→567(436)アクセス

第3局(5月8日)
第65期将棋名人戦第3局、森内俊之名人が挑戦者の郷田九段に勝ち1勝2敗に
→375(310)アクセス

第4局(5月18日)
第65期将棋名人戦第4局、先手番の森内名人が挑戦者郷田九段に勝利、2勝2敗で振り出しに
→142(115)アクセス

第5局(5月31日)
第65期将棋名人戦第5局、後手番の森内俊之名人が郷田九段を降し、3連勝で18世名人に王手
→344(283)アクセス

第6局(6月15日)
第65期将棋名人戦第6局、郷田真隆九段が「世紀の大逆転」勝利で3勝3敗に
→887(665)アクセス

私は、名人戦などの将棋に関する記事を書くと、僭越ながら渡辺明竜王のブログのトラックバックさせてもらっている。渡辺竜王も承認してくれるので、渡辺竜王のブログを経由して私の記事を読みに来てくれる将棋ファンの方も多い。
上に書いた6局のうち、第4局だけは竜王のブログで名人戦4局への言及された記事が見つからなかったのでトラックバックしていない。そのため渡辺竜王のブログ経由のアクセスはほとんどなかったか極端に少ないと思われるので、第4局の数字は除く。
また第1局は開始局、第6局は大逆転で、通常の対戦とは異なる関心によるアクセスもあると考えてこれも除く。

通常時でほぼ同じようなアクセス条件にあった第2局、第3局、第5局で郷田九段が勝った第2局が567アクセス、森内名人が勝った第3、5局が平均360アクセスである。
自分が応援する棋士が勝った時は、ブログなどでどのように書かれているか気になって見て回るもの。負けた時は、それだけでガッカリして他のブログで何を書いてあろうが見る気もしない。それがファン心理だろう。
私は567:360(≒6:4)という数字が、今回の第65期名人戦での郷田九段応援と森内名人応援の大まかな比率ではないかと推定する。ニフティの「名人戦棋譜速報」の封じ手予想の際のコメントの集計でも、郷田ファンの方が少し多かったという解説記者の方のコメントがあったように思う。
この郷田応援6割の中には、今回森内名人が勝って羽生三冠より先に森内名人が永世名人(18世名人)となることが釈然としないという羽生ファンの数字も含まれているとは思う。

長々と書いてしまったが、今回に郷田九段には、「名人」にファンが求める「物語」や「ドラマ」も十分備わっているし、郷田新名人誕生を望む機運もあると思う。
あとは、それらを背景に第7局を自ら自負する将棋で存分に戦い、ファンを魅了する棋譜で森内名人を破って名人位をつかみ取り、「物語」の最後の一章を書き加え、「ドラマ」の最後の一幕を演じきってほしい。

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