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2007年6月17日 (日)

第65期将棋名人戦最終局を前に、羽生三冠との対戦成績から棋士の序列を考える

第65期将棋名人戦の第6局は、絶体絶命のピンチに立たされた郷田真隆九段が、奇跡の大逆転で戦績を3勝3敗の五分に戻し、名人位の行方は、6月28・29日愛知県蒲郡市で行われる最終第7局に持ち越されることとなった。

郷田ファンとしては、いまだ一昨日の夜の興奮さめやらぬところで、このことを話題にしたブログを読み歩いたりしているのだが、どこかの記事で、NHKのBS放送で解説者をしていた島朗八段が、「棋士はお互いを常に格付けし、序列をつけあう世界」という趣旨の事をコメントしていたという記事があった。常に一対一に戦いの中で、強い側は相手に対し「俺はおまえよりこれだけ強い」ということを見せつけ、相手に「この相手にだけは勝てない」と思わせるということであろう。それを、それぞれが全ての棋士に対して行っていて、自然と棋士の間での序列となっていくのだろう。それは、結果として、名人挑戦者を争うリーグ戦である順位戦のクラスに見合ったものになっていくのだろう。

現在の将棋界の頂点に第一人者として君臨するのが、羽生善治三冠(王位・王座・王将)であるのは、異論のないところだろう。現役棋士の中でトップクラスを維持し1300局以上の対局を行いながら、依然として0.729という最も高い勝率を維持している。
その羽生三冠に対してどの程度の成績を残しているかも、序列を窺う一つの目安になるのではないかと思い、羽生三冠のタイトル戦の成績を分析してみた。
羽生三冠は、2007年6月現在、7大タイトル戦にタイトルホルダーまたは挑戦者として84回登場しうち66回に勝利している。タイトル戦に限れば0.785という驚くべき数字である。しかし裏を返せば、18回は負けていることになる。

まず、18回の負けの相手を分析してみる。
(羽生善治三冠のタイトル戦別敗戦相手)

棋士名 名人 竜王 棋聖 王位 王座 棋王 王将
谷川浩司 1 2 0 2 0 0 1 6
森内俊之 2 1 0 0 0 1 1 5
佐藤康光 0 1 1 0 0 0 1 3
郷田真隆 0 0 1 0 0 0 0 1
丸山忠久 0 0 0 0 0 1 0 1
藤井 猛 0 1 0 0 0 0 0 1
三浦弘行 0 0 1 0 0 0 0 1
タイトル計 3 5 3 2 0 2 3 18

次に66回の勝ちの相手も分析してみた。
(羽生善治三冠のタイトル戦別勝利相手)

棋士名 名人 竜王 棋聖 王位 王座 棋王 王将
谷川浩司 0 1 4 3 3 2 3 16
佐藤康光 0 2 0 4 3 2 5 16
森内俊之 2 0 0 0 1 1 1 5
郷田真隆 0 0 0  3 0 1 0 4
森下 卓 1 0 0 0 0 2 1 4
島 朗 0 1 1  0 2 0 0 4
南 芳一 0 0 0 0 0 3 0 3
藤井 猛 0 1 0 0  1 0 0 2
久保利明 0 0 0 0 1 1 0 2
丸山忠久 0 0 0 0 1 0 0 1
三浦弘行 0 0 1 0 0 0 0 1
米長邦雄 1 0 0 0 0 0 0 1
阿部 隆 0 1 0 0 0 0 0 1
深浦康市 0 0 0 1 0 0 0 1
屋敷伸之 0 0 0 1 0 0 0 1
福崎文吾 0 0 0 0 1 0 0 1
森 雞二 0 0 0 0 1 0 0 1
渡辺 明 0 0 0 0 1 0 0 1
高橋道雄 0 0 0 0 0 1 0 1
タイトル計 4 6 6 12 15 13 10 66

羽生三冠にタイトル戦で一度でも勝利したことがある7名は、いずれも順位戦でA級ないし名人であり、羽生三冠とのタイトル戦での戦績を対戦相手側から整理し直すと次のようになる。

谷川浩司九段-6勝16敗(0.273)
佐藤康光九段-3勝16敗(0.158)
森内俊之名人-5勝5敗(0.500)
郷田真隆九段-1勝4敗(0.200)
藤井猛九段-1勝2敗(0.333)
丸山忠久九段-1勝1敗(0.500)
三浦弘行八段-1勝1敗(0.500)

この結果は、現在羽生三冠がA級に在籍していることもあり、タイトル戦で羽生三冠に一度は負かしたことのある棋士ででなければ、戦う前から羽生三冠のオーラに気圧されて勝負にならないということを表しているのかも知れない。
最初から勝てないと思うような相手が一人でもいれば、激しい星のつぶし合いで1勝の差が、残留と降級を分ける厳しいA級棋士の地位を維持することは難しいのだろう。

かつてA級棋士に名を連ねていた森下卓九段、島朗八段、南芳一九段らは、3回ないし4回タイトル戦で羽生三冠と戦い、いずれも敗退し、いつしかA級から姿を消してしまった。

羽生三冠とて、タイトル戦という長丁場で負けたことのある相手であれば警戒するし、対戦相手の側も一度は羽生三冠を相手にタイトルを防衛したり、奪取したことがあるとなれば、多少なりとも自信を持って臨むことができるだろう。

今回、このデータを整理していて気がついたことがいくつか書いて締めくくりにしたい。

①森内俊之名人は、羽生三冠には互角の戦いをする一方で、佐藤康光二冠は羽生三冠との対戦は多いが、なかなか勝てない。それでいて、タイトル戦での森内-佐藤対決は佐藤二冠の2勝0敗である。
三すくみとまでは行かないかが、羽生三冠から森内名人が奪った棋王位のタイトルを森内名人から佐藤棋聖が奪って二冠となるというような事態も起きており、実力が拮抗している場合、お互いの相性のようなものも見所かも知れない。

②羽生三冠のタイトル戦での対戦相手に、16世名人の有資格者である中原誠永世十段の名前がなかったことだ。1回くらいはタイトル戦で対戦しているだろうと思っていたので、意外だった。

③2007年7月から始まる第48期王位戦で久々にタイトル戦挑戦者となった深浦康市八段がもう一段ステップアップし、A級に定着するような棋士になるのに、最も効果的な事は、タイトル戦で羽生三冠を破ってタイトルホルダーになる事なのかもしれない。
たとえ一度であれ、それぐらいのエネルギーが出せなければ、現在のA級棋士はつとまらないだろう。

*この記事を書くにあたり、以下のサイトのデータを参考にさせていただきました。ありがとうございました。→「将棋タイトル戦

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