将棋主要棋戦の最近の動向(2007年9月上旬)・その2
昨日からの続きで、最近の将棋の注目の対局について書いてみる。
9月5日(水)
・順位戦B級1組 深浦康市八段×渡辺明竜王戦
前期昇級したA級で4勝5敗と検討しながら、順位の差で再びB級1組に陥落した深浦八段とC級1組2位、B級2組1位で2年連続昇級しこのB級1組も1年で突破しようという渡辺竜王。
また深浦八段は、現在挑戦中の王位戦で羽生王位に対し3勝2敗と勝ち越し、タイトル獲得まであと1勝となっているのに対し、渡辺竜王は10月からの竜王戦の挑戦者がもうすぐ決まる。
ここまでの順位戦の成績は、深浦八段が1回戦が休み(B級1組は定員が13名総当たりなので、13回の対戦のうち、誰かが順に休み(抜け番)にある)のあと1勝1敗。渡辺竜王は出だし2連敗したあと1つ勝ち1勝2敗。すでに8月31日に行われたB級1組4回戦の残り4局で、高橋道雄九段と畠山鎮七段が4連勝を決めており、どちらも、A級昇級のためには1つも負けらない。なお2人の対戦成績は深浦八段の5勝1敗と一方的な数字が残っている。
将棋の進行は、後手の渡辺竜王から角交換の出る展開。その交換した角を飛車取りに打ち込み、深浦八段に飛車を逃げさせて、渡辺竜王ペースに思えたが、渡辺竜王が玉の囲いを更に堅い穴熊に組み替えようとした瞬間に、深浦八段が歩打ちの連続で、渡辺玉の守りを一気に崩しにかかり、その後は深浦八段の攻め続け、渡辺玉をどんどん上部に引きずり出し、最後は竜馬(成り角)と角、桂馬で渡辺玉を仕留めた。
2勝1敗と白星先行となった深浦八段はなんとか昇級争いに踏みとどまった。次回は4連勝の高橋九段が相手。これに勝てれば、最後まで昇級争いに加わることになるだろう。
一方、渡辺竜王は1勝3敗となり、4連敗の島八段、1勝3敗の中川七段、森下九段とともに下位グループに留まっており、今期昇級を狙うには、昇級直後で順位12位と下位であることもあり残り8戦を全勝で通過しない限り難しいだろう。
9月6日(木)
・第55期王座戦5番勝負第1局
久保利明八段×羽生善治王座戦
羽生王座は、王座戦15連覇中。1992年の第39期王座戦で当時の福崎文吾王座(現九段)からタイトルを奪って以来、一度も失冠することなくタイトルを守り続けている。この間の挑戦者は谷川浩司九段3回、佐藤康光二冠3回など。
今回の挑戦者久保八段も2001年の第49期で挑戦者となったが、羽生王座が3勝1敗で防衛している。
将棋は振り駒で先手となった振り飛車党で「さばきのアーティスト」と呼ばれる久保八段が飛車を振り「三間飛車」に構え、守りは「穴熊」に構える。羽生王座が、玉の守りを固めようとしているところに久保八段が攻めかかる。一方、羽生王座も、早々に穴崩しを敢行、どちらも玉の守りが手薄な中、攻めを狙う一手違いの内容。中盤では久保八段有利と言われていたが、穴熊も崩されるともろく、90手めの羽生王座の銀打ちで久保玉は受けなしとなった。その後、久保八段が角2枚、飛車、銀、歩を交え王手の連続でで羽生玉を追い詰めたが、詰みに至らず104手で後手羽生王座の勝ちとなった。
王位戦では、深浦八段にカド番に追い込まれている羽生三冠だが、王座戦では大事な初戦をものにした。
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