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2007年10月 8日 (月)

国立近代美術館で「平山郁夫展」を見る

今日は、2週間ほど前(9月23日)に皇居一周をしたために見そこなってしまった「平山郁夫展」を見に、午後から竹橋にある国立近代美術館に行ってきた。
今回の企画は、平山郁夫画伯の喜寿(77歳)、画業60年を記念して行われたようで、館内で配られていたパンフレットには「仏教伝来からシルクロードへ-画業60年をたどる大回顧展」と書かれている。

「平山郁夫」という名前だけは知っていても、その経歴をつぶさに調べたりしたことはなかった。出身は広島県尾道市、昭和5(1930)年生まれの77歳。中学時代には、学徒動員で働いていた工場で、原爆に遭遇。爆心地から3kmのところだったと説明には書かれていた。「被爆者」として「死」というものと向かい会わざる負えなかったことが、画家平山郁夫の原点にあるようだ。

展示されている作品は、約80点ほど。駆け足で見て回っても、ゆうに1時間はかかる。展示品は、「第1章仏陀への憧憬」「第2章玄奘三蔵の道と仏教東漸」「第3章シルクロード」「第4章平和への祈り」の4つに大きく分類されている。
第1章は仏教の創始者釈迦の一生を描いた連作、第2章は仏典を求めてインドに旅した玄奘三蔵の姿を描く。そしてその2つの流れは、第3章へのシルクロード各地を訪ね描く旅に繋がっていく。
最後の第4章の展示は、主に日本が舞台である。紅蓮の炎に燃える「広島生変図」は原爆投下で焼き尽くされる広島の街を描いた作者の思いがこもった作品。しかし、私が最も惹かれ印象に残ったのは「月華厳島」と題された、夜の厳島神社を描いた作品。夜のとばりを深い群青色で表わし、そこに燈明の明かりが黄色く揺れる。なんとも幻想的である。
今回の展示全体を通して、「青」の色遣いが印象に残った。

こうのような美術展は、東京にいるからこそ見ることができるもの。これからは、もう少し文化的な面で東京に住んでいる利点を生かさなければもったいないと感じた。

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