「神田古本まつり」でアーサー・ランサムの『海へ出るつもりじゃなかった』を衝動買い
一昨日(2007年10月29日)のこと、朝の計量で体重が前日比+1kgの大幅増量で66.7kgにまで逆戻りした私は、少しでも運動量を増やそうと、先週一度、職場の帰りに歩いた日本橋-飯田橋間のウォーキングに再度挑戦することにした。
全行程の三分の二ほどのところが、神田錦町から神保町界隈。古書店が軒を連ねる。折しも「神田古本まつり」が開催されていて、靖国通り沿い歩道にも露店形式で古本が所狭しと並べられている。「今日は、本が目的で来ているわけではないので、寄り道はしない」と思い通つつ、ちょうど私の歩くルートと「古本まつり」のエリアが重なることもあって、歩道の左はいつもの古書店街、右側が露店と本に挟まれて歩くと、やはり気になる。
半分ほど歩いたところあたりか、児童書ばかりの露店があり、つい足がとまる。そして、目に入ってきた1冊の本。「『海へ出るつもりじゃなかった』アーサー・ランサム全集7岩波書店」。箱も、本そのものも新刊と大差ないほど汚れていない。値付けは1000円。実家に帰れば、私が子供の頃に買った本があるのだが、誰かに買われるのも寂しい気がして、その場で財布から千円札を出して、本と交換した。
海へ出るつもりじゃなかった (アーサー・ランサム全集 (7))
アーサー・ランサム全集は岩波書店から出されている12巻の児童書のシリーズで、舞台は20世紀初頭のイギリス。まだ、大英帝国の威光が残っている時代。(第一次大戦の前なのか後なのかよくわからない)
主に湖水地方の湖で、ヨットで遊ぶウォーカー一家の4人兄弟姉妹の話である。
頼れる長男のジョン、しかっりものの長女スーザン、おてんばな次女ティティ、末っ子のロジャー。
湖、ヨット、島でのキャンプ、様々な探検・冒険、いまの考えれば、生活に心配のないイギリスのブルジョア階級の子供たちが、アウトドアライフをエンジョイしているだけの物語という面があるのだが、小学校5~6年生だった私は、そのような時代背景などわかるわけもなく、手に汗握る冒険にただやだ夢中だった。
中でも、私には第7巻の『海へ出るつもりじゃなかった』と第8巻の『秘密の海』が印象に残っている。
『海へ出るつもりじゃなかった』では、4兄妹が、4人しか乗っていない小型の帆船で、誤って外洋に出てしまい、なんとか4人だけの知恵と努力と工夫で、隣国オランダまで行って帰って来てしまうというもの。
最近、私が愛読している『一瞬の風になれ』の作者佐藤多佳子さんや、『守り人』シリーズの作者上橋菜穂子さんも、アーサー・ランサムを愛読書の一つにあげている。
岩波書店の児童書のシリーズもののうち、ドリトル先生やナルニア国のシリーズは、軽装版のはしりともいえる「岩波少年文庫」になっているし、ゲド戦記のシリーズもソフトカバー版が出た。
1ファンとしては、アーサー・ランサム全集12巻も、少年文庫化するか、軽装版を出してほしいと思っている。しかし、なかなか実現しないのは、テレビゲーム全盛の時代で、ファンタジーは受け入れられても、現実世界を舞台にしたアウトドア冒険ものは、もうはやらないということなのだろうか。
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