将棋第66期順位戦B級1組11回戦で、鈴木大介八段と深浦康市王位のA級復帰決まる
一昨日(2008年1月18日)、将棋の順位戦でA級の一つ下のクラスのB級1組の第11回戦6局が、東京と大阪の将棋会館で一斉に行われた。
前期(2006年度)は、A級への昇級者2名の決定が最終の13回戦までもつれこんだがB級1組だが、今期は10回戦が終わったところで、今期のB級1組の順位4位の鈴木大介八段が8勝1敗で昇級レースのトップを走り、直接対決で鈴木八段を破っている深浦康市王位(順位1位)が7勝2敗で2番手につけている。
3敗の棋士はおらず、3番手は順位3位の高橋道雄九段の6勝4敗、それに順位5位の井上慶太八段、同7位の畠山鎮七段が5勝4敗で続いている。
鈴木八段、深浦王位の2人が11回戦で勝つと、鈴木八段は9勝1敗となり最終成績が9勝3敗以上となることが確定。同じく深浦王位は8勝4敗以上が確定する。
鈴木八段は勝数で深浦王位以外の棋士を上回ることが確定する。また、深浦王位は、鈴木八段を除いて、最終8勝4敗の成績を残す棋士がでる可能性があるが、順位が1位のため順位で上回ることが確定することから、2人が上位2名入りが確定し、A級復帰が決まることになる。
結果は、鈴木八段が井上慶太八段に勝ち、深浦王位が阿部隆八段に勝って、2人とも2局を残して、早々にA級復帰を決めた。
鈴木大介八段は第62期(2003年度)から第64期(2005年度)まで3期A級に在籍。5勝4敗、4勝5敗、3勝6敗という成績を残し、通算で12勝15敗、勝率0.444である。
第64期は谷川浩司九段と羽生善治二冠(現)が、8勝1敗どうしでプレーオフで挑戦権を争った年だが、そのあおりを受けて他の棋士は負けがこむ棋士が多く、残留争いは3勝6敗で6人が並ぶ大混戦となった。結局、6人うち順位が下の2人(9位森下卓九段、8位鈴木八段)が貧乏くじを引くことになった。
A級復帰をかけた前期(第65期)のB級1組では、最終の13回戦の高橋九段戦に勝てば自力昇級だったが、惜しくも敗れ、A級昇級の2つめの椅子を行方尚史八段に譲ることになった。
今期は、ここまで深浦王位に敗れただけで、常にトップを維持し続け、昇級を決めた。
一方の深浦王位は第63期(2004年度)と前期第65期(2006年度)にA級に在籍、ともに4勝5敗と残留してもおかしくない成績で、降級の憂き目にあっている。
初めてA級棋士となった第63期は7回戦までは4勝3敗と勝ち越していたが、残る2戦に連敗。1勝8敗で降級が決まっていた高橋九段に次いで悪い成績が4勝5敗の5名という混戦で、その5名の中で最も順位が下だった深浦王位が2人目の降級者となった。
しかし、翌期(第64期)のB級1組では10勝2敗の好成績で1期でA級復帰を決める。
そして、2回目のA級挑戦の前期(第65期)、初戦を制したあと4連敗したもののその後2勝して7回戦終了時点で3勝4敗。8回戦で2勝5敗の久保八段と残留を賭けた直接対決に臨んだ。深浦八段(当時)が勝てば、「深浦残留・久保降級」が決まるところだったが、この一戦に敗れ、久保八段に並ばれ、降級者の2人目の決定は最終の9回戦に持ち越された。
最終戦で降級を争うのは3勝5敗で並ぶ、丸山九段(順位5位)、久保八段(順位7位)、深浦八段(順位9位)の3人、深浦八段残留の条件は自分が勝ち、上位2名の少なくとも1人が負けること。しかし、3人とも勝利し、深浦八段はまたも4勝5敗で降級となった。
またもB級1組から一期で復帰を決めた深浦王位。これまでとの違いは、昨年、王位戦7番勝負で羽生王位を破り待望のタイトルを獲得したことであろう。
タイトルホルダーとして臨む、3回目のA級挑戦。17世名人の資格を持つ谷川九段や3強の一人佐藤二冠も降級候補に入る厳しいリーグ。深浦王位は、どのように戦うのであろう。
来期のA級昇級者2人は決まったが、2人とって代わられるA級からの降級者2人の争いはまだまだ続く。誰が、2人にA級棋士の座を明け渡すことになるのだろうか。
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