小島毅著『足利義満 消された日本国王』(光文社新書)を読み始める
このところ、大崎善生さんの小説を立て続けに読んできたが、ちょっと一休みして、今月(2008年2月)の光文社新書の新刊、小島毅著『足利義満 消された日本国王』を読み始めた。
私は歴史好きで、いろいろな時代の小説やら、新書を読むが、自分に中で、すんなり理解できないのが室町時代である。
特に、鎌倉時代から室町時代へと移り変わっていく時期は、天皇が2人いるという異例な南北朝時代を経るが、誰が正義とは言えない時代である。
将軍となった足利側でも「観応の擾乱」という仲間割れが始まり、誰が敵で誰が味方かさえも定かではない。
この時期の歴史はどう理解すればいいのか、なかなか納得できる切り口を提供してくれる本はない。
そんな中で、足利尊氏の時代から紐解き、南北朝の合一を成し遂げ、天皇位さえ狙ったという足利義満の目指したものを解き明かそうとしたのが本書である。
まだ三分の二ほど読んだところだが、著者は、この時代を単に日本という島国の枠の中だけで見るのではなく、広く中国を中心にした東アジア世界の中で見るべきだと提言している。
足利義満が征夷大将軍になった同じ年に、中国では、「明」が建国されている。しかし、その「明」では、初代洪武帝の孫で第2代の建文帝が「靖難の変」でおじの永楽帝にいわば簒奪される。
その中国での権力構造の大きな変化を踏まえて、この時代をみるべきだというのが、著者の主張と言える。
最後をどのように締めくくるのか、楽しみである。
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