『村山聖名局譜』と『先崎学の浮いたり沈んだり』の中の村山将棋を語る一節
昨日は、午後から新宿の紀伊國屋書店の本店に行く。妻が、仕事(介護)関係の本を探すので、大きな本屋に行きたいというので、つきあうことになった。
とはいえ、私が介護の本の見立てなどできる訳でもないので、現地ではしばし別行動することにして、私は将棋の本のコーナーに行ってみることにした。
さほど、数が置いてある訳ではないのだが、他の書店の将棋の本のコーナーには置いていないような本があるので、寄ってみる価値はある。
私が選んだのは2冊。1冊は、先日読んだ大崎善生著『聖の青春』で描かれた故・村山聖九段が指した将棋のうち名局10局の棋譜を、羽生善治二冠と先崎学八段が解説した『村山聖名局譜』(日本将棋連盟)。もう1冊が先崎学八段の『先崎学の浮いたり沈んだり』(文春文庫)である。
『村山聖名局譜』を買ったのは、村山九段の生き様だけでなく、将棋の内容も少し研究してみようと思ったからだ。時間がある時に、将棋盤と駒を引っ張り出して並べてみようと思う。
巻末には、村山九段の公式戦の全成績が載っている。対局数557局、356勝201敗、2持将棋、10千日手(含む不戦勝1局、不戦敗12局)、勝率0.639。
羽生善治二冠とは、ほぼ互角の7勝8敗(不戦敗1局は除く)というのは以前書いたが、私が応援している郷田真隆九段とはどうだったのだろうと思い調べてみた。
奨励会入りは村山九段が1年後だが、プロの四段になったのは村山九段の方が3年早い。その後の昇級のペースも常に、村山九段の方が3~4年先を行っているので、結局2人は順位戦では一度も対戦していない。
対戦は、平成5年以降、王将戦で3局、王位戦で2局、ほぼ年に1局のペースで対戦している。結果は、郷田九段から見て4勝1敗。「棋譜でーたべーす」で最後の王位戦の棋譜を見たが、200手を超えるねじりあいの力戦将棋で、双方力を出し切ったという感じだ。
先崎八段は『先崎学の浮いたり沈んだり』の中で、『村山聖名局譜』誕生の経緯を「村山将棋を残す」というタイトルで語っており、その中で次のように語る。
村山将棋は、駒が前に出る、元気のよい、明るい将棋だった。そして、時折意表を突く奇手が出た。そして、村山聖という男も、そういう男だった。
(『先崎学の浮いたり沈んだり』49ページ)
おそらく、村山九段と郷田九段の将棋は似ている面があるのではないかと思う。
村山九段が平成10年(1998年)8月、現役A級棋士のまま亡くなった翌年、その欠員を埋める形で、郷田九段がA級棋士となっている。3年の遅れをようやく取り戻し、A級で相まみえんとした時、村山九段は亡くなってしまった。
村山九段対郷田九段の対局は、将棋の醍醐味を味わわせてくれる豪快な勝負になったに違いないと思うと、A級での対戦が実現しなかったのは、返すがえすも残念である。
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