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2008年3月14日 (金)

1ドル100円割れはアメリカン・スタンダードの終わりの始まり?

円とドルの為替相場が1ドル=100円の大台を割り込み、99円台を記録したという。1995年10月以来12年5ヵ月ぶりのことだと報道されている。

1ドルの価値を円で評価したものがドル円の外為相場と考えれば、1年もたたない2007年5月~7月は1ドル=120円台だったものが、1ドル=100円前後まで約20%値下がりしたわけで、大幅なドルの価値下落である。今回は、ドルは各国通貨に対して大幅に下落しており、ユーロ、シンガポールドル、スイスフランに対しては過去最安値を更新したという。「円高」というよりは、「ドル安」である。

今回のドル安の引き金は、サブプライムローンという信用リスクの高い顧客への住宅ローンの焦げ付きが発端だろう。米国の金融機関や証券会社は、そのサブプライムローンを証券化し、運用商品として世界各国の投資家に販売していた。原債権が焦げ付けば、それのキャシュフローに依拠している証券化商品の下落も当然である。いわば、不良債権を世界各国に輸出していたわけだから、輸出元の米国が信用をなくし、国の信用度の指標とも言える外為相場で各国に通貨に対して、交換価値が下がるのも当然であろう。

思い出すのは、1980年代。やはり、米国では住宅ローン専業のS&L(貯蓄貸付組合:Saveings and Loan Association)が相次いで破綻し、大騒ぎになった。結局20年前を同じことを米国はやっているだけではないかという気がする。しかし、当時はまだ証券化などの金融技術は進んでいなかったので、S&Lの破綻は米国の国内問題だった。

今回は、証券化という形で輸出をしていたことで、破綻・焦げ付きで損をするのが、米国にとどまらず世界各国に及んだというところが大きな違いだろう。

90年代に入り回復を成し遂げた米国は、日本がバブル崩壊で塗炭の苦しみを味わているのを尻目に、デフェクト・スタンダード(事実上の世界標準)というふれこみでアメリカン・スタンダードを日本に強要し、日本は唯々諾々とそれを受け入れてきた。

しかし、デフェクト・スタンダード(事実上の世界標準)という名のアメリカン・スタンダードに依拠していても、とんでもない間違いはやはり起きるということが、今回図らずも証明されたということだろう。

これから、世界規模でアメリカン・スタンダードの見直しが始まるのではないか。それは、パックス=アメリカーナなどとも呼ばれた米国中心の国際秩序の終わりの始まりなのではないか、12年ぶりの1ドル=99円というニュースを聞いてふと思った。

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