松岡正剛著『17歳のための世界と日本の見方』を読み終わる
『17歳のための世界と日本の見方』(春秋社)をようやく読み終わる。
この本のもとになったのは、著者が帝塚山学院大学に新設された人間文化学部の教授に1998年4月に招かれ、2004年3月に退職するまで、1年生向けに「人間と文化」というタイトルで行った講義の記録をもとにまとめられたもので、「セイゴウ先生の人間文化講義」とのサブタイトルがつけられている。
目次を並べると
第一講 人間と文化の大事な関係
第二講 物語のしくみ・宗教のしくみ
第三講 キリスト教の神の謎
第四講 日本について考えてみよう
第五講 ヨーロッパと日本をつなげる
世界の歴史の始まりから、日本とヨーロッパの近世あたりまでを縦横無尽に語り、現在の日本とヨーロッパの基盤となっているものの考え方や行動様式の原点に迫ろうとするものである。本の帯には「大人は読んではいけません」とキャッチコピーが書かれ、次作の『誰も知らない世界と日本のまちがい』の帯の「大人は読まなきゃいけません」と対になっているが、松岡さん自身は「おわりに」で「17歳」の意味について、次のように語っている。
17歳というのは大学生に話す以前に、高校生の諸君に語りかけたかったという思いを込めてのこと、とくに年齢にこだわったわけではありません。17歳ちょっきりも、17歳以前でも、いや、いまだに17歳をやりなおしていない”大人”だっていいのです。でも、17歳というのは象徴的な年齢だと思います。私も、何かを考えたり行動するときは、しばしば”精神の17歳”に戻ります。(『17歳のための世界と日本の見方』361ぺージ)
この本は、2006年12月に発行されていて、書店で表紙を見た記憶もあるのだが、これまで手に取る機会がなかった。私が買ったものの奥書を見ると2008年2月に第16刷となっていて、よく売れていることがわかる。
読書通の人たちにとって、「松岡正剛」作品は、外せないものなのだろう。これまで、松岡さんの存在を知らなかった自分の不明に恥じ入るばかりだ。
先ほども触れたが、本書の続編に当たるのが、同じ春秋社から昨年(2007年)12月に出版された『誰も知らない世界と日本のまちがい』であり、世界の近代・現代史がテーマである。ゆっくり味わって読むことにしたい。

誰も知らない 世界と日本のまちがい 自由と国家と資本主義
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