河合隼雄さんの追悼特集を組む『飛ぶ教室』2008年冬号と『考える人』2008年冬号を買う
臨床心理学者で数々の著作を残された河合隼雄さんが脳梗塞で倒れ、1年近い入院闘病ののち、亡くなられたのが昨年(2007年)の7月19日。もう半年以上になる。
このブログでたまたま書いた闘病中の河合隼雄さんの容態を心配する記事(2006年8月24日「気がかりな河合隼雄文化庁長官の容態」)が、グーグルなどの検索サイトで長らくトップ10に表示されたこともあって、倒れられてから亡くなってまでのほぼ1年の間、毎日必ず10~20件程度アクセスがあり、多くの方に読んだいただいていたが、さすがに、最近ではほとんどアクセスされることはなくなっていた。
最近になって、朝日新聞社から出ていた『大人の友情』が文庫化されたのを見て、「やはり河合隼雄さんも時間の経過とともに過去の人になっていくのだろうか?」と妙に感傷的な気分になったりもしていた。
昨日、仕事の帰りにいきつけの書店に寄るると、河合隼雄追悼特集を組んでいる雑誌が2冊並べられていた。
光村図書発行の『飛ぶ教室』の2008年冬号と新潮社の『考える人』の2008年冬号。もちろん2冊とも買う。
飛ぶ教室〈2008 winter no.12〉追悼・河合隼雄 河合さんと子どもの本の森へ―児童文学の冒険
『飛ぶ教室』の方は、河合隼雄さんとともに『飛ぶ教室』を創刊した児童文学作家の今江祥智さんと臨床心理学者で京都大学で河合さんの後輩にあたる山中康裕さんが「河合さんと子どもの本の話をしよう」というタイトルで対談しているほか、河合さんにゆかりのある人たちがそれぞれに河合さんの思い出の一文を寄せているほか、兄で動物学者の河合雅雄さんが隼雄さんが書いた自伝物語『泣き虫ハァちゃん』にまつわるエピソードを「泣き虫ハァちゃん異文」として寄せている。
『考える人』の方は、当初単行本化する予定で連続対談が組まれる予定だった作家の小川洋子さんと河合隼雄さんの対談、小林秀雄賞の選考委員として河合さんとともに選考にあたった加藤典洋・関川夏央・堀江俊幸・養老孟司4氏の対談、立花隆さんと河合さんの対談の再録、そして河合さんと関わりのあった人たちへのインタビューや、思い出を綴った文章という内容である。また、河合さんの著作をジャンル別に分けた「たましいの森をあるく」と題した河合隼雄ブックガイドもある。
どちらもそれぞれ趣向をこらした編集となっている。春分の日の今日、東京はあいにくの雨模様なので2冊を手に「雨読」に専念しようと思う。
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