2008年の「将棋界の一番長い日」終わる、名人挑戦者は羽生善治二冠、2人めの降級は久保利明八段
昨日(2008年3月3日)は将棋のA級順位戦9回戦の5局の対局が行われた。いわゆる「将棋界の一番長い日」。組合せは次の通り。
| 先手 | 後手 |
| ③羽生善治二冠(7勝1敗) | ②谷川浩司九段(3勝5敗) |
| ⑧三浦弘行八段(6勝2敗) | ⑦久保利明八段(2勝6敗) |
| ①郷田真隆九段(5勝3敗) | ⑩行方尚史八段(1勝7敗)降 |
| ⑥藤井猛九段(4勝4敗) | ⑤丸山忠久九段(5勝3敗) |
| ④佐藤康光二冠(2勝6敗) | ⑨木村一基八段(5勝3敗) |
森内俊之名人への挑戦者は、ここまで7勝1敗の羽生善治二冠と6勝2敗の三浦弘行八段の争い。羽生二冠が、谷川浩司九段戦に勝つか、三浦八段が久保八段戦に敗れれば、羽生二冠が挑戦者。羽生二冠が敗れて、三浦八段が勝てば、羽生対三浦のプレーオフとなる。
一方、A級からの降級2名は、すでに行方尚史八段が8回戦までで1勝7敗で確定。2人めは、ここまで2勝6敗の佐藤康光二冠と久保利明八段のどちらか。今期のA級での順位が4位の佐藤二冠が9回戦の木村一基八段戦に勝てば、自力で残留。敗れても、久保八段が三浦八段に敗れれば残留が決まる。久保八段は、自分が勝った上で佐藤二冠が敗れて初めて残留という他力本願である。
勝負は、まず、羽生-谷川戦が、駒組の段階で羽生二冠が勝り、本格決戦の前に、谷川九段が投了。まず、羽生善治二冠の久しぶりの名人挑戦が決まった。
次いで決着したのが、郷田-行方戦。郷田ファンの私は、ネット中継で観戦していたが、双方譲らぬ熱のこもった戦い。序盤から中盤にかけては、淡々と駒組みが進む。行方八段の郷田陣への角打ちを郷田九段が自陣への桂打ちで守り、それを切り返す行方八段の銀打ちとさすがA級という手が続く。しかし、郷田陣が攪乱されたのは間違いなく、一時、行方八段優勢のと解説だったが、寄せに出た行方八段の飛車が龍となって郷田玉に迫ったところで、郷田九段に攻防を兼ねた角打ちの妙手が出て、土俵際で逆転。そこから6手で、行方八段の投了となった。敗れたものの、行方八段も十分持ち味を発揮したのではないかと思う。
解説では、行方八段の飛車成りの場面で、いったん自玉への郷田九段の攻め駒を取り、自陣の守りを固めておけば、ほぼ勝ちだったとのことだった。同じような場面が、4回戦の郷田-久保戦でもあったように思う。持ち時間も少なくなり、攻め筋に入ったところで、一呼吸おいて自玉の守りを固めるのは、トッププロでも的確な状況断がなくてはできないことなのだろう。そのような、ちょとした相手のほころびを逃がすことなく、逆転の一打を放てるところが、最近の郷田九段の強さのような気がする。また、郷田九段が攻めている時に、ふっと力が抜けたように、自玉の守りに手を入れることがあるのも、そのような判断によるものだろう。
3局めの終局は、丸山-藤井戦。今期の調子の差がを反映したかのような、丸山九段の勝ち。
残りは、残留・降級を決める2局。まず、木村-佐藤戦が決着。途中、木村八段に佐藤玉を詰ます筋があったが、感想戦でも双方とも気づいていなかったということで、150手を超える激戦の末、佐藤二冠が制し、自力でA級残留を決めた。この時点で久保八段の降級も確定した。
最後に残った三浦-久保戦。この対戦は、いったん三浦八段先手で始まったが、途中千日手が成立、久保八段先手で指し直しとなった。指し直し局の途中で、羽生二冠の勝利し名人挑戦が確定、また佐藤二冠の勝利で久保八段の降級確定と、この対局の結果を待たず全てが決まった。もちろん、対局の2人には知らされず、勝負は続く。私も、この勝負をネット中継で最後まで見る気力はなく、寝てしまったが、今日になって棋譜を見ると、途中から三浦八段が押し気味に進め、馬金両取りの飛車打ちも出て、三浦八段勝勢となった。
過去2年、最終局まで降級のピンチにありながら、最終局に勝ってA級に踏みとどまってきた久保八段だったが、今期は三浦八段の前に力及ばす投了。5期維持してきたA級棋士の座を明け渡すことになった。久保八段のこの5年のA級での通算成績は18勝27敗、勝率は0.400となった。
2008年の「将棋界の一番長い日」が終わった。
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