辞書の季節、金田一春彦さんの理想の辞書の新版
新入学を控えた3月下旬あたりから、毎年、書店に辞書の特設コーナーがお目見えする。もちろん、新入生に買ってもらおうということであろう。
以前、『広辞苑』の新版の第6版を衝動買いしてしまったことを書いたが、辞書のコーナーも見ているとあきない。
辞書など、どれも大差ないようにも思うのだが、やはりはやりすたりはあるようで、たとえば英語の辞書も我々の高校時代には受験用には、研究社の英和中辞典が定番のように言われていたが、今や大修館書店のジーニアスがその定番の座を奪っている。
受験という目的に即して、何を盛り込むべきかは、後発の辞書の方が、既存の辞書の長所・短所など内容を吟味した上で、短所を補い、長所を伸ばすような編集をすれば、結構、定番の座を奪うことも可能なのかも知れない。
受験も遠い昔の話になり、自分のために新しい英語の辞書を買うということはなくなったが、国語の辞書は『広辞苑』以外にも、買うことがある。
今年の辞書の特設コーナーに、我が家で愛用している国語辞典の改訂版が登場した。学研の『現代新国語辞典』の第4版である。
編者は、多くの辞書に編者として関わった故金田一春彦氏。その金田一さんが、初版の序文で
私も(中略)何種類かの国語辞典の編纂をし、また数多くの辞典の作成に関係した。しかし、今度の辞典ほど私の理想にぴったりしたものは作れなかった。
と述べるほどである。
もちろん、買った時は、日常の読み書きの際に使いやすいものということで、書店に置いてあるものを見比べ、読み比べて使いやすそうだと感じたので、買ったもので、金田一さんの序文にはあとから気がついたのだが。
しかし、2001年11月に第3版が出版されたあと、2004年5月に金田一春彦氏は亡くなったので、第4版は出るのだろうかと心配していたのだが、息子の金田一秀穂が編者に名を連ねて2007年12月に第4版が出版された。今後は、金田一秀穂氏が編集を引き継ぐということのようだ。
一安心である。いつか、仕事帰りの荷物の少ないときに買ってこようと思っている。
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