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2008年4月30日 (水)

浜田康著『会計不正』を読み始める

3月に中央青山監査法人の消滅をテーマにした種村大基著『監査難民』(講談社)と細野康弘著『小説会計監査』(東洋経済新報社)を読んだが、今朝から浜田康著『会計不正』(日本経済新聞社)を読み始めた。

こちらは、単に中央青山監査法人の問題だけでなく、なぜ粉飾決算・会計不正が起きるのかについて、会社側・経営者側の事情と、監査する公認会計士側の事情、そして今後、会計不正をなくしていくために、それぞれの立場でどうするべきか等について考えようとするものである。

著者は中央青山監査法人所属の公認会計士で2002年には同じ日本経済社から『不正を許さない監査』という会計監査のあり方をテーマにした本を出している論客である。
しかし、皮肉にも、その後日本では数々の会計不正事件が世を騒がせ、在籍していた中央青山監査法人は解体・消滅した。
中央青山に、証券取引等監視委員会の調査が入った2005年7月には新設の監査5部長の発令を受けたばかりだったことが書かれているので、中央青山でも相応の地位にいたことになり、みずからの組織に所属する会計士がカネボウなどで「不正を許す監査」どころか「不正に荷担する監査」をしていたという事実には衝撃を受けたと思うし、『不正を許さない監査』の著者としては忸怩(じくじ)たる思いだったろう。 何とか、著者なり顔回答を出そうとして書かれたにが、この『会計不正』だったのではないかと思う。
本書の締めくくりに当たる第8章は「監査人は会計不正にどう対応すべきか」との題され、5つの節のタイトルは、次の通りである。

1.クライアントのビジネスを理解しているか
2.監査人は不正に対する感度を高め、その排除、阻止に全力を挙げるべし
3.監査人は論理的であるべし
4.監査人は自ら隘路に滑り落ちない仕掛けをしておくべし
5.監査人は自分のクライアントの行動を映し出す鏡であるとの自覚を持つべし

グローバルスタンダードという名の下、企業の1年間の成績発表である企業会計の分野でも、国際に会計基準の統一化が進んでいる。そして、市場は、経営者には常に増収・増益を求め、それを実現した経営者が優れた経営者とされ、報酬もそれに伴う仕組みに変わりつつある。
その成績表を監査する会計士も、社会や市場から自らに求められる役割が大きく変わっていることを認識しなければならなし、企業や経営者に対する見方を変えて、クライアントである企業や経営者との新たな関係を築いていかなければならないということなのだろう。本書のサブタイトル『会社の「常識」監査人の「論理」』にも、そういう思いが込められているのではないかと思う。

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