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2008年4月18日 (金)

郷田真隆九段の『実戦の振り飛車破り』と先崎学八段の『まわり将棋は技術だ』を買う

昨日(2007年4月17日)、仕事の帰り新宿経由で帰ることになり、新宿の紀伊國屋書店本店に寄ってみる。
将棋の先崎学八段が週刊文春に連載しているエッセイ「先崎学の浮いたり沈んだり」をまとめたものの2冊目にあたる『まわり将棋は技術だ』(文藝春秋)が以前行った時に平積みで何冊か置かれていたので、次の機会に買おうと思っていながら、なかなか行く機会がなく、ようやく、機会に恵まれた(前回は、『村山聖名曲譜』と『先崎学の浮いたり沈んだり』を買ったところで予算が尽きたので、次回回しにしていた)。

前回来た時に3~4冊あった在庫は1冊に減っており、なんとか最後の1冊をゲット。あまり、書店で在庫を見る本ではないので、滑り込みセーフというところだろう。

ついでにと書棚を見ていると郷田真隆九段の著書『実戦の振り飛車破り』(日本将棋連盟)があったので、こちらも一緒に買ってきた。

『まわり将棋は技術だ』は、昨日と今日で読了。いつも軽妙洒脱な書きぶりに、どんどん先を読みたくなる。

一方、郷田九段の『実戦の振り飛車破り』は、2000年8月まだ八段の時代に出版されたものである。郷田九段の実戦の中から、居飛車対振り飛車の戦いぶりを、振り飛車の戦型別に21局を選び、解説している。ほとんどは、相手の振り飛車を居飛車党の郷田九段がうまく指し回して勝ったものが中心だが、中には惜しくも敗れたもの、また郷田九段が飛車を振ったケースも取り上げられている。
本の趣旨は、実戦の棋譜の解説なので、じっくり読み込むには将棋盤に棋譜を並べて見なくてはいけないが、それぞれの対局譜の解説の最初には、対戦相手を巡るエピソードが書かれており、とりあえず、そこのところだけを斜め読みしてみた。

その中で、いくつか興味をもったものを紹介しておきたい。(各棋士の段位・タイトルは現在のもの)

谷川浩司九段
「平成4年は思い出深い年だ。谷川さんと棋聖戦、王位戦のダブルタイトル戦を繰り広げ、王位戦で初のタイトルを獲得できたからだ。谷川さんは私たちの世代が目標にしてきた棋士であり、その谷川さんとタイトル戦のひのき舞台で戦えることは非常にうれしかった。」(48ページ)

先崎学八段
(先崎八段の兄弟子にあたる伊藤能四段との対戦記の中で)「私が伊藤さんの弟弟子である先崎学八段と親友という関係もあって、(以下略)」(68ページ)

故・真部一男九段(本書執筆当時は存命)
「真部八段にはときどきお宅に呼んでいただくことがある。非常にに博識で飲みながら話をしているととても楽しい。おおらかで大胆な部分と理論的な部分を併せ持たれている感じがする。真部八段の将棋は、基本的に筋のよい棋風なのだが、ときおり非常にごつい手を指してるタイプである。型にはまらず独創的なところがあって、常に”自分の将棋”を指している棋士だ。」(88ページ)

故・村山聖九段 (本書執筆当時、すでに他界)
「村山さんは個性的な棋士だった。随所に野性味あふれる指し手が現れるその棋風は「切れ味の鋭いナタ」のようであり、魅力ある将棋だった。村山さんとは年齢も近く、私はライバルとして意識していた。村山さんが私のことをどう思っていたかは分からないけれど・・・・・・。明るく朗らかなうえに人なつっこくて、村山さんは誰からも愛される性格だった。同世代の友人として、忘れることはできない棋士である。」(184ページ)

最後に紹介した「故・村山聖九段をライバルとして意識していた」というくだりは、「やはりそうだったか」という思いである。以前の記事でも、似たようなことを書いていると思うが、激しさという点で2人の棋風は似ている。郷田九段にとって、自分より少し年上で、しかし1期あとに奨励会入たものの、あっという間に奨励会を駆け抜け、常に自分より先を走っていた村山九段は、その棋風からしても郷田九段の目標だったに違いない。
そして、郷田九段がB級1組でトップとなり、初めてA級入りを決めた第57期(1998年度)の順位戦で、村山九段はA級在籍にまま亡くなったのだ。ようやく追いついたと思った時、ライバルはいなくなっていた。

取り上げられている21局の棋譜は、改めて将棋盤と駒を出してきて並べてみようと思う。

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