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2008年4月17日 (木)

生命の不思議を感じさせてくれる福岡伸一著『生物の無生物のあいだ』を読み終わる

一昨日(2008年4月15日)の記事で取り上げた福岡伸一著『生物の無生物のあいだ』(講談社現代新書)を読み終わった。

時に分子生物学の歴史を語り、その中での人間の功名争いを巧みに語り、最後にはその分子生物学の歴史に連なる自らの研究の不思議な結果、生命の不思議としか言いようのない結末を語り、締めくくる。最後の数章はまるでミステリーを読んでいるようで、どのような結論がでるのか、気になって一気に読ませる迫力がある。
(個々のエピソードは興味深いものが多いが、あまり書いてしまうと、まだ読んでない人に対してネタバレになってしまうので控えておく)

そして、一冊を読み終えてみれば、本書が、一般人向けの格好の分子生物学の入門書になっていることがわかる。また、世界のトップレベルの研究室で行われている研究の最前線の有り様を垣間見せてくれ、偉大な業績の背景には、地道な作業の積み重ねがあることを知り、「どの世界も同じなのだ」と改めて認識する。

高校時代、文系を選択した私は、当時のカリキュラムで「生物Ⅰ」を勉強したところで、生物学の勉強は終わっている。その程度の知識でも、十分、楽しめた。著者の難しいことを、門外漢にも判るように語る語り口は秀逸であり、大学の理系の先生としては希有な存在ではないだろうか。
この著者福岡先生が1959年生まれというのは、1960年生まれの私にとって、同世代の活躍としてうれしい限りである。 著者が書いた『もう牛を食べても安心か』(文春新書)、『プリオン説は本当か?』(講談社ブルーバックス)も買い求めて読んでみようと思う。


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