絵本『はらぺこあおむし』の作者エリック・カールさんの展覧会に行く・その1-創作の秘密
一昨日、4連休の初日の「憲法記念日」(2008年5月3日)は、新聞で見かけた「エリック・カール展」を見に、銀座の松屋まで出かけた。
今にも雨が降りそうな曇り空だが、銀座には、老いも若きもたくさんの人である。お目当ての松屋の8階の催事場まで、エスカレーターを乗り継いで行く。会場にたどり着くと、子供の日ということもあってか、親子連れが多い。入場券を買って、会場の中に入ると、それぞれの原画の前にたくさんの人。盛況だ。
これまで、何冊も出されている絵本の中から代表作を選りすぐり、その原画を各絵本につき5枚から10枚程度展示してある。そのほか、エリック・カールさんが作品を作るところを紹介したビデオや、今回の展覧会用のインタビューのビデオをなどが流されている。
エリック・カールさんの絵本といえば、多彩な色づかいが特徴だと思うが、どのような手法であの彩り・色使いを出しているかなど考えたこともなかった。
今回紹介されていた技法を簡単に紹介すると、まず、彼の原画はすべて「貼り絵」である。
トレーシングペーパーに原画の下絵を描き、その原画の色にふさわしい「色紙」を用意して、トレーシングペーパーの下絵に沿ってカミソリで切り抜く。
切り抜いた色紙を、その部分だけ穴が空いたトレーシングペーパーを台紙にあてて場所を確認しながら、色紙に糊をつけて台紙に貼りつけていく。
その繰り返しにより、台紙の上に、様々な色の切り抜かれた色紙が一枚一枚貼りつけられていき、台紙の上に切り抜いた色紙をコラージュ(糊付け)した本当の原画が完成する。
これだけであれば、ただの「貼り絵」に過ぎないが、エリック・カール作品の秘密は、切り抜いた「色紙」にある。
「色紙」は市販の単色のものではなく、ティッシューという特殊な薄い紙に、彼自身がアクリル絵の具を、思いつつくまま、何重にも塗り重ねて作ったものである。その色紙を作る時は、最終的な作品と結びついているわけではなく、塗りに専念している。いざ、原画のコラージュを始める時に、その原画にふさわしい自家製の「色紙」を探し出してくるのだ。
何気なくみているこどもの絵本でも、これだけの創作の秘密があるとは……。改めて、世の中には、自分の知らないことの方が多いことを実感した1日であった。
会場でのビデオやパンフレットで、エリック・カールさんが絵本作家として世に出るまで、様々な人との出会いがあることを知った。それは、一つの物語である。記事を改めて、「その2」としてまとめることにしたい。
この展覧会は5月12日(月)まで、銀座松屋で開催されている。ご興味のある方は、一度足を運ばれるとよいと思う。
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