« 『将棋世界』2008年6月号の「感想戦後の感想」に郷田真隆九段が登場、丸山忠久九段との関係を語る | トップページ | 酒井穣著『初めての課長の教科書』で語られる「読書のユニークな本質」 »

2008年5月 7日 (水)

自分が課長だった時代に読みたかった『はじめての課長の教科書』(酒井穣著)

出版された時から気になっていた酒井穣著『はじめての課長の教科書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)をGW前に買い込み、今朝読み終えた。よく売れているようで、アマゾンのベストセラーランキングで全体で21位、「ビジネス・経済・キャリア」部門では4位となっている(この記事を書いている時点で)。先週の朝日新聞の書評にも取り上げられていた。

著者の酒井穣さんは、1972年生まれ。慶応義塾大学理工学部の卒業で、オランダでMBAを取得し、現在はウェブ・アプリケーション開発を行うベンチャー企業の最高財務責任者(CFO)をつとめているとのこと。「NED-WLT」http://nedwlt.exblog.jp/というブログも書かれている。(本書の著者紹介より)

かつて、自分が課長という立場に初めてなった時に、まったく仕事のやり方が変わり、戸惑った経験がある。
それまで、部下の時代に仕えた上司の顔を思い出し、自分が生き生きと働けた上司の行動を思い出しながら、自分なりに試行錯誤で、自分の課のマネジメントを行った。

やはり、部下として仕える立場で見ているのと、いざ自分がその立場に立ってみるのとは大違いで、

(1)課長とは、自分で仕事をするのではなく、他人(部下)に仕事をしてもらう立場であること(当たり前だが)

(2)課長とは、組織の中での最初の人事評価者として、部下の人生・運命に影響を与えざるを得ないこと(部下時代とは比較にならない責任の重さ)

を痛感した。

本書は、まさに、当時の私のような初めて課長になった人が遭遇であろう数々の課題について処方箋を示してくれている。
それぞれの企業・組織によって、課長になるための難易度、課長に期待される役割、与えられる権限は微妙に違うとは思うが、しかし、おしなべてみれば、共通する項目の方が多いと思われ、現在、課長のポジションにいる人にとって日々のマネジメントのヒントの書であり、これから課長になろうする課長代理や係長クラスの人たちには、課長の仕事を予習できる貴重な本である。

一部、目次を紹介すると

第2章 課長の8つの基本スキル
スキル1 部下を守り安心させる
スキル2 部下をほめ方向感を明確に伝える
スキル3 部下を叱り変化をうながす
スキル4 現場を観察し次を予測する
スキル5 ストレスを適度な状態に管理する
スキル6 部下をコーチングし答えを引き出す
スキル7 楽しく没頭できるように仕事をアレンジする
スキル8 オフサイト・ミーティングでチームの結束を高める

第3章 課長が巻き込まれる3つの非合理なゲーム
ゲーム1 企業の成長を阻害する予算管理
ゲーム2 部下のモチベーションを下げかねない人事評価
ゲーム3 限られたポストと予算をめぐる社内政治

第4章 避けることができない9つの問題
問題1 問題社員が現れる
問題2 部下が「会社を辞める」と言い出す
問題3 心の病にかかる部下が現れる
問題4 外国人の上司や部下を持つ日が来る
問題5 ヘッドハンターから声がかかる
問題6 海外駐在を求められる
問題7 違法スレスレの行為を求められる
問題8 昇進させる部下を選ぶ
問題9 ベテランの係長が言うことを聞かなくなる

上記の目次を見ただけでも、本書の語ろうとしていることは、うかがい知ることができると思う。
私が感じた最初の課題である「他人に働いてもらう立場」に求められるスキルは第2章に網羅されているし、結果的に同じようなことを行っていたと思う。 また、2番めにあげた「人事評価」者としての問題は、第3章のゲーム2に語られる通りである。

「自分が課長の時代に読めればよかったのに… 」と思う本である。
本書では、もう1点非常に参考になる視点があったが、それは、明日あらためて書くことにしたい。(2008年5月8日:酒井穣著『初めての課長の教科書』で語られる「読書のユニークな本質」

|

« 『将棋世界』2008年6月号の「感想戦後の感想」に郷田真隆九段が登場、丸山忠久九段との関係を語る | トップページ | 酒井穣著『初めての課長の教科書』で語られる「読書のユニークな本質」 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

仕事」カテゴリの記事

コメント

はじめまして。連日に渡って取り上げていただいた本書『はじめての課長の教科書』の著者です。まずは本書のお買い上げ、ありがとうございました。また、嬉しいコメントの数々を、どうもありがとうございます。

実際に、課長として活躍されてきたビジネスマンの方から、こうしたコメントをいただけるのは筆者としては、とても嬉しいことです。

また、遊びにきます。今後とも、よろしくお願いします。

投稿: 酒井穣 | 2008年5月13日 (火) 05時12分

酒井様

著者ご本人から、コメントをいただき恐縮しています。

管理職という仕事は、好むと好まざるとに関わらず、他人である部下の人生に影響を与えざるを得ない仕事だと思います。
担当者から末席管理職の課長になった時に、その仕事の本質を理解して、それらしく行動できるかどうかは、自分と周りの人間を幸福にもするし不幸にもする。

また、個人のキャリアにとっても、この課長という仕事をうまくこなせるかどうかは、その後の人生に大きな影響を及ぼすはずなのに、課長となろうとする人、なった人とって「道しるべ」となるビジネス書はほとんど皆無だったというのがこれまでの現実だったと思います。

本書のヒットは、読者が必要としていた本がようやく書かれたということの証左だと思います。これからもロングセラーとなり、文庫化もされ、長く読み継がれていくことでしょう。
いい本を書いていただき、ありがとうございました。

こちらこそ、これからもよろしくお願いします。

投稿: 拓庵 | 2008年5月13日 (火) 06時24分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 自分が課長だった時代に読みたかった『はじめての課長の教科書』(酒井穣著):

« 『将棋世界』2008年6月号の「感想戦後の感想」に郷田真隆九段が登場、丸山忠久九段との関係を語る | トップページ | 酒井穣著『初めての課長の教科書』で語られる「読書のユニークな本質」 »