将棋の第79期棋聖戦5番勝負第1局は、佐藤康光棋聖が挑戦者の羽生善治二冠に勝利
第66期名人戦が森内名人2勝、挑戦者の羽生善治二冠(王座・王将)3勝と名人位の行方を第6局以降に持ち越している中、次のタイトル戦である第79期棋聖戦5番勝負の第1局が新潟市で始まった。
こちらは、7連覇を目指す佐藤康光棋聖(・棋王)に、羽生善治二冠が挑戦する。佐藤棋聖が7連覇を達成すれば、棋聖戦の歴史の記録である大山康晴15名人の7連覇に並ぶことになる。今回は、年初に佐藤棋聖と対談した、『ウェブ進化論』の著者梅田望夫さんが、アメリカシリコンバレーから来日し、ウェブ観戦記を書くというイベントも企画されている。(梅田氏の観戦記はこちら)
梅田氏が観戦記執筆のために来日するということで、解説の仕事のために現地入りした渡辺明竜王に加え、深浦康市王位と遠山雄亮四段(梅田氏の『ウェブ時代をゆく』で紹介された棋士)の2人も解説のため新潟入りしている。将棋のタイトルは7つあるが、対局者の2人と解説の2人で併せて6冠が新潟に揃うことになった。
梅田さんは5回に分けてウェブ観戦記を書いているが、その初回で羽生二冠が駒の中で「銀」をもっともよく使うという話を紹介し、一方、佐藤棋聖には、自らメールで質問し、
佐藤棋聖が一番使い方に気を遣っている「桂馬」という答えを得ている。
将棋の内容の方は、後手となった佐藤棋聖が角交換に出て、双方「角」を持ち駒として持つ一方、先手となった挑戦者羽生二冠が居飛車に構え右の銀を前線に繰り出し、羽生の「銀」が焦点となった。佐藤棋聖は、銀とともに前線に飛びだいして来た飛車の動きを咎めるように飛車取りの角打ちをみせ、飛車が逃げたところで羽生陣に角が成り込み、「馬」を作ることに成功。羽生二冠はその「馬」を消すべく自陣で角をあわせるが、佐藤棋聖がせっかく作った「馬」と角の交換に応じるはずもなく、「馬」は佐藤陣に引き戻され、のちのち手薄になった佐藤玉のを守りの駒として、重要な役目を担うことになった。
一方、攻めかけていた羽生二冠側は、「馬」が佐藤陣に引かれたことで、攻め駒の飛車が佐藤陣を攻め崩すには至らず、むしろ、どこに飛車を動かしても、佐藤棋聖から狙われて、右往左往させられているようにも見えた。
羽生二冠の飛車が追われ、定位置が定まらない中、序盤で佐藤棋聖の「馬」を追うため、羽生二冠が自陣に打ち、遠く佐藤陣をにらんだまま、働いていなかった角が狙われる。佐藤棋聖の「桂」打ちとその後の桂成りで、羽生二冠の角は逃げ場を失う。
最終的に、馬でがっちりと守られる佐藤玉を攻める有効な手だてがなく、自玉はいくらでも攻められる筋があるというワンサイドの状態になったところで、羽生二冠が投了した。全体を通してみれば、序盤に交換し、お互いに打ち合った角の働きの差、一方は「馬」として守りで大きな威力を発揮し、一方はほとんど働かないまま逃げ場を失なったことの差が、第1局の勝敗の差になのではないだろうか。(棋譜はこちら)
今日は、さらに第67期A級順位戦の開幕戦谷川浩司九段×藤井猛九段戦が大阪の将棋会館で行われている。また、棋譜は公開されないが、竜王戦の挑戦者決定トーナメント進出をかけた竜王戦1組の3位決定戦で私が応援する郷田真隆九段と鈴木大介八段が東京の将棋会館で対戦している。
この2局については、明日、書くことにしたい。
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