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2008年8月16日 (土)

「言葉」の不思議について語る黒川伊保子著『恋するコンピュータ』が面白い

この本も、先日紹介した『ムーミン谷のひみつ』と同じ2008年8月のちくま文庫の新刊である。実は、『ムーミン谷のひみつ』を買った時に隣に並んでいて、興味を引かれ、買おうか買うまいか悩んだ末、1度に何冊も買っても読み切れないしと思って、いったん買うのをやめ、そのことさえ忘れていたのだが、先週、別の書店の文庫コーナーで再び見つけ、「そう言えば買おうと思ってやめたんだ」と思いだし、2度目の巡りあいで購入した。

恋するコンピュータ (ちくま文庫)
恋するコンピュータ (ちくま文庫)

買っておいて良かったというのが、正直な感想である。買って読んでみて、読んだだけ時間の無駄と思う本、最後まで読み通す気にならず途中でやめる本もあまたあり、そのような本は、数がまとまると、そこそこの内容だが手元におくほどではないという本とともに「BOOK OFF」に売りに行くことになるが、この『恋するコンピュータ』は手元の残しておく本の1冊になるだろう。

著者は1959年生まれ、奈良女子大物理学科卒で、コンピュータメーカーで人工知能(AI)の研究に従事したあと2003年に独立して会社を作っている。
本書『恋するコンピュータ』はまだ、メーカーのエンジニアだった1998年にちくまプリマーブックスの1冊として世に出た著作最初の著作で、10年を経てちくま文庫に収録されることになった。

内容は、著者が研究していた「どうやれば、コンピュータで人の脳と同じような働きをで実現できるか=人工知能(AI)」に端を発し、そもそも「人間の脳は、どのように状況を認識するのか?」、「我々が日常、意思の疎通のために使ってる「言葉」にどんな力が備わっているのか?」といったテーマを、著者の身の回りで起きた研究仲間との会話、著者の出産体験、生まれた男の子との生活の中での会話などを題材に、しなやかに、かろやかに読者に語りかける。

さらりと書いているのだが、理系の発想で語られる、「言葉」の持つ力、「言葉」が果している役割などは、文系の自分では気づかないことも多く、目からウロコが落ちる思いで読んだ箇所が多くあった。
改めて、このブログでも紹介したいと思う。

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