冨原眞弓著『ムーミン谷のひみつ』を読み終わる
先週8月9日は「ムーミンの日」だったそうだ。2005年がムーミン作品が世に出て60周年ということで、60周年キャンペーンが行われたのだが、その年に作者であるトーベ・ヤンソンの誕生日(8月9日)を「ムーミンの日」と決めたらしい。
そのムーミンの日を意識してか、ちくま文庫の2008年8月の新刊の1冊として店頭に並んだのが冨原眞弓著『ムーミン谷のひみつ』である。小学生の時代から、ムーミン作品に親しんでいる身としては、ムーミンに関するエッセイ・評論類を見るとつい買いたくなってしまう。
『ムーミン谷のひみつ』では、ムーミンの物語の登場人物を順に紹介する。まず、ムーミン家族から始まり、ムーミントロール、ムーミンパパ、ムーミンママ、ちびのミイ、スニフ、スノークの女の子とスノーク、フィリフヨンカ、ヘムル、ニョロニョロ、モラン、スナフキン、トゥティッキ、スクルットおじさんの順である。
それぞれに味のある登場人物ばかりで、9冊に及ぶムーミン物語の作品の中から、それぞれの登場人物の特徴ある行動や言葉が紹介され、それぞれに対する著作の思いが語られる。
ムーミンの物語の9冊も後半に行くにつれ、個人の内面の葛藤をテーマにするようになってきており、短編集となっている『ムーミン谷の仲間たち』は子どもの頃読んだ時には、あまり面白いと思えなかったことを思い出す。今、読み返してみれば、その奥深さを理解できるかもしれない。
『ムーミン谷のひみつ』の奥書によれば、本書は1995年に刊行された『ムーミン谷へようこそ』という本を底本に、構成を再編し、スニフ、スノークの女の子とスノーク、フィリフヨンカ、ヘムル、モラン、スクルットおじさんの各エピソードを書き下ろしたものという。
『ムーミン谷へようこそ』についても、ネットで検索してみたら、すでに我が家の蔵書となっている本だった。
著者には『ムーミンを読む』(講談社)との題で、ムーミンの物語9冊を発表順に解説した本もある。今回の『ムーミン谷のひみつ』と併せて読むとムーミン物語の世界の全体像が見えてくると思う。
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コメント
私も買いたくなりました!
最初に読んだのは、講談社の世界名作シリーズの中の『ムーミン谷の冬』です。
暗くてちょっと怖い冬が印象的でした。
確か、「ノンノン」は日本でのネーミングなんですよね。「スナフキン」は英語名からで、原書ではやや長い名前だったと記憶しています。
面白そうな新刊を紹介してくださってありがとうございます♪
投稿: ゆりこ | 2008年8月14日 (木) 09時02分
ゆりこさん、こんばんは
コメントありがとうございました。
私が最初に読んだのは、「ムーミン谷の彗星」です。おさびし山の天文台への冒険旅行の話を何度も読み返したものです。
小学4年の進級する春に、父親の転勤の関係で、福岡から東京に引っ越すことになり、寝台列車で東京に向かいました。その日、博多駅の本屋で偶然、発売されたばかりの「ムーミン谷の彗星」を見つけ、面白そうだと思って買ったのが、ムーミンとの出合いです。
今でも、我が家では、マグカップやら、ケーキ皿などにムーミン一家が登場します。
次女は、原作は全く読んでいないのに、すっかり「ちびのミイ」のファンになり、ミイのように何でもハッキリものを言う娘になりました。
(本当は原作を読破してほしいのですが…。親の思う通りには、子どもは育たないものです)
投稿: 拓庵 | 2008年8月14日 (木) 21時30分