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2008年8月12日 (火)

将棋の本流をめざす郷田将棋、朝日新聞インタビューから

朝日新聞の夕刊には、週1回、囲碁・将棋の特集記事が載る。
先週8月8日の竜王戦決勝トーナメント準決勝で応援している郷田真隆九段が木村一基八段と激闘の末、敗れたとあって、ファンの一人として、少々落ち込んでいたところ、今日(2008年8月12日)の朝日の夕刊の将棋の特集にその郷田九段のインタビューが掲載された。
「△8四歩の誇り」というタイトルに、サブタイトルが「郷田九段「四つ相撲が面白い」」との記事。

将棋では、先手が初手▲7六歩と角道を開けた場合、後手は△8四歩と飛車先を突くか、△3四歩と後手も角道を開けるかのどちらかが、主要な2手目の選択肢なのだが、勝利優先の風潮が強い現在のプロ将棋では、△3四歩と角道を開け、比較的後手の勝率高いとされる後手から角交換をする戦型「一手損角換わり」を選択する棋士が増えている。そのような風潮の中で、あえて△8四歩と突くのにこだわる棋士が郷田九段ということで、そのこだわりを問うているのが、今日の記事である。

以下、朝日新聞2008年8月12日夕刊より引用(聞き手は丸山玄則氏)

-なぜ、△8四歩を選ぶのですか
「△8四歩は居飛車党なら当然の一手。矢倉でも、角換わりで、先手の研究の全てを克服しないといけないが、△8四歩で苦しくなる感じははない。相手の研究範囲にストレートに入る可能性もあるが、その場で考えて道が開けることもある。誰かが△8四歩の定跡を作らないといけないんです」
-居飛車党でも2手目△3四歩から一手損角換わりや中飛車を目指す棋士も多い。試したい気持ちは。
「みんながやることはやりたくないので一手損角換わりは公式戦では一度も指したことがない。試したい気持ちもあるし、自分ならもっとうまく指せる自信もあるが、どの新聞の観戦記を見ても一手損角換わりでは、ファンは面白くないでしょう。8五飛戦法もブームが過ぎてから指しただけです。」
-△8四歩と突く棋士は勝負より真理を追究するイメージがあります。
「(中略)かたくなには考えていないんです。将棋には、居飛車も振り飛車もないと思っている。ただ、勝負重視の風潮には乗りたくない。何でも指せないと△8四歩と突けないから突く。人まねはしたくないから突く」
-最近のプロ将棋は斬新な戦術が次々登場し、何をかっているのか分かりません。
「現代将棋が本道だとは思えない。将棋の可能性のひとつとしてしょうがないが、相撲だって四つ相撲が面白い。僕の将棋は本流だと思っている。もっと強ければ現代の風潮を覆せるのにと歯がゆく感じます」
(引用終了、下線は管理人にて)

「勝てるから、ブームだからとプロ棋士がみな同じ戦法を使っては、ファンは面白くない。ファンは、その棋士の個性の現れる将棋を見たいのではないか。それを見せられなければプロではない。」そう語っているようである。
愚直に、将棋のあるべき姿を極めようとする姿は、郷田流であろう。1999年に29歳で初めてA級昇級を果たして 、2回陥落の憂き目にあい、3回目のA級昇級で勝ち越し、A級定着を勝ち取るまで7年を要した。その間、「勝てればいい」という将棋を指してみようかという誘惑にかられたこともあったのではないか、また郷田九段の実力なら、それで勝率も上がったかもしれない。しかし、あえてその道は選ばずに、郷田流を貫いてA級の座に定着したことに、意味がある。
しかし、A級定着だけで満足しているわけではない。「もっと強ければ現代の風潮を覆せるのに…」との言葉は、棋戦で優勝の常連となり、タイトル、中でも「名人」を取って初めて「強くなった」と自らも納得できるのであろう。ぜひ「もっと強く」なってほしい。

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