お笑いコンビ・サンドウィッチマンの『敗者復活』読む
昨年12月の漫才の「M-1グランプリ」で優勝したお笑いコンビのサンドウィッチマン。土曜日の新聞に『敗者復活』(幻冬舎)というタイトルの本の広告が載っていた。
たまたま、2人が優勝した「M-1グランプリ」の放送を見ていたので、50組以上の準決勝敗退者の中から、敗者復活の1組に勝ち残り、9組で争う決勝でトップの成績で、優勝を決めるファイナルの3組に勝ち残り、優勝の栄冠を勝ち取った姿が印象に残っている。
本では、コンビを組む伊達みきお(本の表紙左)、富澤たけし(表紙右)の2人の生い立ちから始まり、仙台の高校ラグビーでの出会い、一度は就職した伊達の話芸に惚れ込んでいたネタ作り担当の富澤が、コンビ組もうと誘い続け伊達も祖父の死を契機に誘いに応じたこと、23歳で上京したが、30歳までアルバイトをしなければ生活できなかったこと、売れない時期伊達は富澤が自殺するのではないかと心配したこともあること、30歳でこのままではいけないとお笑いに仕事に真剣に取り組み少しずつ注目され、テレビにも出る機会が増えたことなどを、2人が交互に語っていく。
2005年、30歳を期に一念発起をしたところで、その年の第5回「M-1グランプリ」の準決勝進出50組に残った。翌2006年の第6回での目標は当然、決勝進出であったが、その年も準決勝どまり。
そこで、戦略家でもあるネタ担当の富澤は、2007年こそ決勝に残ると決め、過去の伸助・竜助の漫才や「M-1決勝」のDVDを見て徹底的に研究をする。
しかし、2007年も準決勝で決勝進出8組に残ることができず、決勝当日、大井競馬場で行われた敗者復活戦の全てを賭けることになった。
その後は、すでに知られている通りだし、全てを書いてしまうと、ネタバレになってしまうので、「M-1グランプリ」決勝でのエピソードは、本を読んでいただければと思う。
今時、珍しい苦節10年を経てのベタなサクセス・ストーリーである。しかし、なかなか夢を見ることができない時代・世相だからこそ、33歳の2人のサクセスストリーに、多くの人が共感するのだろう。
2人は、お笑い芸人の登竜門である「M-1グランプリ」に優勝したからといって、浮ついたようなところは、この本からは感じられない。
ネタの内容で勝負できる本格派のお笑い芸人として、長く活躍してほしいものである.
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