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2008年10月28日 (火)

2008年10月の世界同時株式暴落を予言している小幡績著『すべての経済はバブルに通じる』

今日(2008年10月28日)の日本の株式相場は、午前10時過ぎに一時6994円90銭と前日の終値7162円90銭を更に▲168円 割り込み、1972年10月6日の終値で記録した6974円以来の7000円割れとのこと。なかでも、メガバンク3行は売り込まれ、売りの先導役を果たした。
しかし、午後の入り、先週は90円割れ目前だった円ドル為替相場が93円近辺で留まったこともあり、午後の相場は急反発、引け際にかけ急騰して、終値は7621円92銭(前日比459円02銭高)と先週末の7649円08銭近くまで戻した。

東証1部上場企業の連結ベースでの株価純資産倍率(PBR)は、0.87倍。前期の実績値に基づいた数値なので、今後の数字を約束するものではないとはいえ、現在の株式相場の水準は東証1部上場企業の平均値は、解散価値よりも10%以上低いということである。いくら、株式市場が将来を先取りして動くとは言え、今後の景気減速を織り込んでも、東証1部上場企業の平均値として、今期決算で自己資本を10%以上減らす赤字になるとは思われない。
一方、配当利回りは前期実績ベースで2.78%、今期予想ベースで2.80%。このような数値を冷静に見れば、むしろ日本の株は買われてもいいように思う。
端的に言って、10月以降の日本の株式相場は、いわゆるファンダメンタルズとは関係ないところで、売買されていると考えたほうが理解しやすい。

そのメカニズムを見事にあぶり出しているのが、今回の世界同時金融危機を扱った本の中でも、ヘッジファンドや投資銀行の行動原理に焦点を当てた小幡績著『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書、2008年8月刊)だと思う。

著者は、金融資本が、さらなる増殖をめざして、ありとあらゆる投資機会を求めてさまよう様を「キャンサーキャピタリズム(癌化した資本主義)」と名付け、投資機会が減少する中で金融資本が自己増殖のため更なるリスクを取らざるを得ず、それによって生じるバブルを「リスクテイクバブル」と名付けている。

金融資本はあたかも意志を持つかのように自己増殖し、当初は経済を活性化するように見える。しかし、一旦増えすぎると、それは、さらに過剰に増殖し、激しく機能しすぎることになる。増殖した金融資本は、投資機会を求めて世界中をさまよう。そして発見した投資機会において利益を実現し、投資機会を食いつくす。利益を得た金融資本は、さらに増殖することになるが、一方、求める投資機会は食い尽くされているから、枯渇する。
自己増殖を止めない金融資本は、投資機会を自ら作り出すことを求める。その成功により、金融資本はさらに増殖するが、実体経済には過度の負担がかかり、金融資本に振り回されることになる。ここに、本来、実体経済の発展を支える存在であった金融資本が、自己増殖のために実体経済を利用するという主客転倒が起きる。そして、これが最終的には実体経済を破壊し、金融資本自身をも破滅させるさせる結果をもたらす(『すべての経済はバブルに通じる』224ページ)

「キャンサーキャピタリズムにおいては、バブルの膨張、崩壊のメカニズムは構造的市場内部に組み込まれていた。そして金融資本の増殖に比例して、バブルの崩壊はより激しくなり、そして崩壊はさらに激しいものとなった。病は急速に進展していったのである。」(『すべての経済はバブルに通じる』240ページ)

著者は、今回の株式暴落に先立って2007年8月にサブプライム関連証券化商品の下落に端を発したフランスのパリバ銀行系のファンドが解約凍結を発表してからの世界的な株式市場の下落を「サブプライムショック」というバブル崩壊、2007年年末から2008年1月の米国のモノライン危機報道、2月の米国大手証券ベアスターンズ破綻・救済合併などとともに生じた株式市場の下落を「世界同時暴落スパイラル」と表現している。

本書は次のように締めくくられている。

今回のリスクテイクバブルの崩壊は、まだ第一次崩壊過程だと思われ、今後、幾度となく、キャンサーキャピタリズムは発症し、リスクテイクバブルは繰り返され、さらに別の形のバブルやそれ以外の発症があるであろう。
キャンサーキャピタリズムの完治はいつか。それは以外と遠いようで近い気もする。しかし、それまでには、これまで以上の激痛と悶絶を経なければならないだろう。すくなくとも、その覚悟だけは、我々は今からしておかなければならない。(『すべての経済はバブルに通じる』240ページ)

2008年9月15日の米国大手投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻はキャンサーキャピタリズムに冒された金融資本の末路だったと考えるべきなのだろう。そしてリーマン破綻に端を発した2008年10月以降の三度目の世界同時株安・同時暴落は、その破壊的な激しさという点で、実体経済に「これまで以上の激痛」を与えている。

『すべての経済はバブルに通じる』は、現在の世界同時金融危機を学ぶ図書として外せない1冊であると思う。

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