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2008年10月14日 (火)

サブプライム問題と今回の世界同時金融危機に関する本2冊(みずほ総合研究所編『サブプライム金融危機』、チャールズ・R・モリス著『なぜ、アメリカ経済は崩壊に向かうのか』)を追加購入

先週は、日本の株式市場も売りが続き、あれよあれよという間に日経平均株価は8000円台まで下落してしまった。
週末のG7で発表された行動計画に反応する形で、ニューヨーク証券取引所の株価は反発したようだが、日本の株価はどうなるだろうか。
個人的には、欧米株は仕方ないが、日本株は現状では売られ過ぎという気がしてしかたないのだが…。今後の世界景気の低迷による日本経済の悪化を先取りしたと講釈もできるかもしれないが、どこかのブログで書かれていたように「米国のように空売り規制をしないので、証券化商品の暴落で損を抱えたファンドの損の穴埋めのため、空売りの標的にされたのではないか?」というのが、実態ではないだろうか。空売りで下げるだけ下げておいて、買い戻すタイミングを見計らっているのだろう。

しばらく前に、買い込んだサブプライム関係の本4冊は、とりあえず読み終わった。その前に紹介した金融庁の報告書とあわせ、サブプライム問題がどのようにして発生し、それがどう今回の一連の金融危機の繋がっていったかという点はほぼ理解できた気がする。

サブプライム問題が象徴するのは、米国の住宅バブルの崩壊であり、それがかつての日本のバブル崩壊時のように当該国だけに留まらず、ひろくヨーロッパを中心に世界各国に波及したのは、証券化という金融技術によってサブプライムローンが、資産運用商品として各国に販売されたことによる。
米国住宅バブル崩壊により、元利払いの延滞が増加し不良債権と化したサブプライムローンは、運用商品の価格下落を引き起こし、サブプライムローンを組み込んだ証券化商品を保有する投資家は、損失計上を余儀なくなれた。その規模が巨額である上に、その運用商品の購入資金は、借入金でまかなわれており、運用商品の価格下落は、資金の貸し手であった金融機関の貸出金の内容劣化にも繋がる。
おまけに、金融機関自身が傘下にファンドを組成し、手広く証券化商品の運用に関わっていたのだから、サブプライムローンの損失は幾重にも金融機関にのしかかってくる。

しかし、金融機関がそのような後から振り返ればリスクの高い運用を行ったのは、そもそも世界的な金余りがあった。資源国や新興経済国は貿易黒字を元にした莫大な資金を保有するが、自国内にも、海外にもめぼしい投資先がない。その余った資金の運用の受け皿となったのが、サブプライム・ローン等を中心に組成された証券化商品である。言い方を変えれば、余った資金を運用先として何かが必要とされ、その求めに応える形で、証券化商品は登場したと考えることもできる。証券化という金融技術を使って、元は一つの住宅ローンから幾重にも証券化商品が作成される。
よく、サブプライムを解説した本では、そのあたりのことを指して「信用創造」という言葉使われる。しかし、我々が大学で習った古典的な経済学では、資金不足の環境の中で、最初の貸出金の一部が預金として金融機関に環流し、さらにその環流した預金を元に新たな貸出が実施されるという循環が続く中で、資金が幾重にも回転し、見かけ上預金が増加し、それがさらに貸出に回るという形で資金が効率的に利用されることをもって「信用創造」と呼んでいたように思う。
サブプライムの一連の流れの中で創造されたのは、上記の例の、預金の方ではなく、貸出にあたる側の運用商品である。元は一つのローンが、幾重にも証券化されるということは、
どういう事か。最初のローンには借入人もいて実態があるが、そのローンが証券化され最初の債権・債務関係から離れてしまい、さらに最初のローン証券を担保にした証券化商品ができると、どこまでが実態のある運用商品といえるのだろうか?という気がしてくる。

わかったようでもあり、突き詰めて考えるとわからないような気もしてくる。もう少し勉強しようと、追加で2冊関連図書を購入した。

3連休が終わり、今日からマーケットが開く日本の現実世界の方は、どう動いていくのか、これも目が離せない。

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