第67期将棋A級順位戦4回戦、佐藤棋王vs丸山九段戦、深浦王位vs藤井九段戦同日開催で全勝が消え、挑戦者争いは混沌
昨日(2008年10月9日)の東京・千駄ヶ谷の将棋会館では、第67期A級順位戦4回戦のうちの
▲佐藤康光棋王(1勝2敗)vs△丸山忠久九段(3勝0敗)
▲深浦康市王位(1勝2敗)vs△藤井猛九段(1勝2敗)
の2局が行われた。
どちらもタイトルホルダーが登場の対局。中でも、丸山九段が勝って4連勝として名人挑戦者争いの単独トップを維持できるかどうかは、一番の関心事だろう。
先に決着したのは、深浦vs藤井戦。1勝2敗同士の対局なので、勝って2勝2敗にすれば、今後のリーグ戦の展開次第ではまだまだ名人挑戦権も狙える。一方、負けて1勝3敗となれば、今期の名人挑戦はほぼ絶望となり、むしろ降級の心配をしなければならなくなる。羽生名人との死闘を制し、王位防衛・九段昇段を果たした深浦王位にとっては3回目のA級昇級の今期こそは悲願のA級定着を果たしたいところ。
しかし、将棋の内容は、後手の藤井九段の完勝とも言える内容。向かい飛車に振った自陣の飛車を見捨て飛車角交換に応じた藤井九段は、手にした角をすかざす深浦陣に打ち込み、穴熊から深浦玉をあぶり出し、その後も切れ目のない攻めで、自玉に深浦王位の本格的な攻めの手が及ぶ前に深浦王位を投了に追い込んだ。2勝2敗と五分の星に戻したには藤井九段で、深浦王位は1勝3敗と苦しい星勘定になった。
一方、佐藤vs丸山戦は、後手丸山九段の一手損角換わり。角交換のあと、佐藤棋王は飛車を振り、お互いの飛車と飛車、玉と玉が向かい合う形で駒組みが進んだ。先に、佐藤棋王が丸山陣への角成りに成功。馬となって、橋頭堡を築いた。丸山九段も、佐藤陣の隙をを突いて、佐藤玉に攻めかかり追い詰めたが、攻め駒が不足していたのと、自陣も盤石の態勢とは言えず、攻めが途切れたところで、佐藤棋王の逆襲に合い、丸山九段の投了となった。丸山九段は3勝1敗となり単独トップの地位からは後退。佐藤棋王は2勝2敗とし、挑戦者争いに望みをつないだ。
これまでの4回戦の結果を踏まえて、現在のA級の名人挑戦者レースの状況を整理すると
3勝1敗:森内俊之九段(1)、丸山忠久九段(4)
2勝1敗:三浦弘行八段(2)
2勝2敗:郷田真隆九段(3)、藤井猛九段(6)、谷川浩司九段(7)、佐藤康光棋王(8)
1勝2敗:木村一基八段(5)
1勝3敗:鈴木大介八段(9)、深浦康市王位(10)
残る三八段浦vs木村八段戦は、来週15日(水)に行われる。どちらが勝つにせよ、すでに全勝と全敗がいなくなっており混戦模様である。4回戦を終え、2勝2敗の棋士が1人もおらず、上位グループ5人と下位グループ5人にはっきり分かれた前期とは様変わりだ。
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