守り人&旅人シリーズ第8作『天と地の守り人 第一部』(上橋菜穂子著)を読み終わる
10月に入り、上橋菜穂子さんの「守り人&旅人」シリーズの最後を締めくくる『天と地の守り人』三部作の第一部ロタ王国編が軽装版で登場した。
『精霊の守り人』から始まった守り人&旅人シリーズの面白さにすっかりはまってしまい、第1作の『精霊の守り人』を新潮文庫で読んで以来、文庫が待ちきれず、それより速く出版される偕成社の軽装版が出版されたところですぐ買って読み継いできた。
女用心棒バルサと彼女に助けられた新ヨゴ皇国の皇太子チャグムの物語も歴史大河小説の趣を醸し出している。これまでの物語の中で、新ヨゴ皇国の周辺のカンバル王国、サンガル王国、ロタ王国、タルシュ帝国の歴史や内情が語られてきた。そして、各国を巡る国際政治情勢が2人の運命を翻弄していく。
前作『蒼路の旅人』で海を隔てた南の強国タルシュ帝国に捕虜として捕らわれ、その野望を知った新ヨゴ皇国の皇太子チャグムは、タルシュ帝国から新ヨゴ皇国に送り返される途上、ある思いを抱いて船から海に身を投げ、行方知れずとなる。
本作『天と地の守り人 第一部』では、チャグムはタルシュ帝国の捕虜になる前に戦死したことになっており、新ヨゴ皇国ではすでに葬儀も行われている。
女用心棒バルサは、彼女あてに託された手紙を受け取り、チャグムが死んでいないことを知り、チャグムを探すため、ロタ王国に向かう。
チャグム探しの旅の中で、バルサにもチャグムを取り巻く複雑な国と国との駆け引き、国の中での主導権争いなどが少しずつ明らかになっていく。
バルサはチャグムを探し出すことができるのか…?
いつもながら読み始めると、ぐいぐいと物語の世界に引き込まれ、ほとんど1日で読み終わってしまった。この物語もあと2冊、読みおわってしまうのが、もったいないような、でもはやくどういう結末になるのか知りたいような、読者としては複雑な心境である。
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