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2008年10月 8日 (水)

脳学者茂木健一郎の悩みに河合隼雄さんがヒントを与える河合隼雄・茂木健一郎対談集『こころと脳の対話』

一昨日、河合隼雄さんの1周忌を弔うように出版された対談集として『こども力がいっぱい』(光村図書出版)を取り上げ、その中から河合さんと宇宙飛行士の毛利衛さんの対談の内容の一部を紹介したが、同じように1周忌前後に出版された対談集がもう1冊あった。河合さんと脳科学者の茂木健一郎さんとの3回の対談をまとめた『こころと脳の対話』(潮出版社)である。

対談そのものは、初回が2005年11月に東京のホテルの一室で、2回目が2006年2月に京都にある河合さんの研究室で、第3回は2006年4月に茂木さんが講師を務めるカルチャースクールの連続講座に河合さんが特別ゲストとして招かれるという形で行われている。
普段は、聞き手に回る河合隼雄さんが、この茂木さんとの対談では全体を通して、喋る側に回っているのが印象的である。それは、第3回の対談の締めくくりの2人の会話に端的に表れている。

<河合>しかしね、考えたら 、いつも僕、茂木さんにうまいことやられて、しゃべりまくっているんだけれど、本当は脳の話をもうちょっとしてもいいんです。
<茂木>いえいえ、ちゃんと脳の話につながっていますんで。
(『こころと脳の対話』203ページ)

そこは、NHKの「プロフェッショナル-仕事の流儀」で、数多くのプロフェッショナルな人たちのインタビュアーを務める茂木さんの面目躍如というべきであろうか。
むしろ、対談時に43歳(1962年10月生まれ)だった茂木さん、自ら抱える悩みを、臨床心理士である河合さんにカウンセリングしてもらっているようにも読める。対談に中では、脳学者として「クオリア」(感覚の持つ質感)というものを研究テーマにし、脳と心の関係(心脳問題)を研究している茂木さんならではの悩みが披瀝される。ものすごく簡単に要約してしまえば、「心の問題は科学で扱えるのか?」という問題だと私は思う。読み終わってから改めて考えると、それは40代前半の茂木さんにとって、ある種の「中年クライシス」(中年期の危機)だったのかも知れないと思う。茂木さんが自ら見た夢を語り、京都の河合研究室で箱庭を作り、その夢や箱庭に現れたものを河合さんが河合流に説明していく。
それは、茂木さん個人の夢や箱庭に現れた茂木さん個人が直面している問題を2人で考えるという形にはなっているのだけれど、どこかで普遍的なものに繋がっていて、読む者を納得させる。

第1回では、茂木さんの見た夢「イギリスでバスで旅行をしていて、そのバスの中に赤い服を着た5~6歳の小さな女の子が乗っていて、それが誰だかわからない」との問いに、の河合さんがいくつかの見方を説明し、それをヒントに茂木さんが自らの考えを深めていく。
また、第2回の対談の際に、茂木さんが作った箱庭では、箱庭作りで使ったニワトリやゴリラの人形が心を読み解くヒントになる。
この時、茂木さんが作った箱庭は、河合さんの訃報に接した際の茂木さん自身のブログの記事に写真が載っている(茂木健一郎:クオリア日記、2007年7月21日河合隼雄先生のこと

「こころ」と脳について、関心のある方は、一読されるとよいと思う。

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