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2008年10月 6日 (月)

季刊誌「飛ぶ教室」での河合隼雄さんの対談をまとめた『子ども力がいっぱい』から毛利衛さんの「受け入れる力」

元文化庁長官で心理学者の河合隼雄さんが2007年7月16日に亡くなって1年余。一周忌を弔うように、河合さんゆかりの本が何冊か出版された。
2008年8月に出版されたのが、しばらく前にこのブログで紹介した『河合隼雄のスクールカウンセリング講演録』(村山正治・滝口俊子編、創元社)と作家の小川洋子さんとの対談をまとめた『生きるとは、自分の物語をつくること』(新潮社)。

ちょうど一周忌にあたる2008年7月に出版されたのが、今日紹介する『子ども力がいっぱい』(光村図書出版)である。

児童文学をテーマにした光村図書の季刊誌『飛ぶ教室』での「あなたがこどもだったころ」と題した著名人の子ども時代をテーマにした対談をまとめたものである。「飛ぶ教室」は、河合さん自らが編集委員に名を連ねていたこともあり、様々な形で積極的に関わっていたようだ(「飛ぶ教室」2008年冬号での今江祥智氏と山中康裕氏の対談から)。「飛ぶ教室」は1981年12月に創刊され1995年にいったん休刊、2005年に復刊している。河合さんは休刊前の旧「飛ぶ教室」でも「あなたがこどもだったころ」という対談を行っており、現在『あなたがこどもだったころ』として講談社+α文庫に収録されている。

今回の『子ども力がいっぱい』にまとめられた対談は、2005年の「飛ぶ教室」の復刊第1号から第6号まで連載され、最後の対談となった女優三林京子さんとの対談は2006年5月に行われていたが、河合さんがその直後に脳梗塞で倒れたこともあり、河合隼雄追悼号となった2008年冬号に掲載された。今回復刊1号から6号までの対談と併せて7人との対談が本にまとめられた。対談相手は、どういう基準で選ばれたのかはわからないが、よくこれだけのメンバーが集まったものだと思えるほどそうそうたる顔ぶれである。

第1号山本容子(銅版画家)
第2号鶴見俊輔(哲学者・評論家)
第3号筒井康隆(作家)
第4号佐渡裕(指揮者)
第5号毛利衛(宇宙飛行士・理学博士)
第6号安藤忠雄(建築家)
第12号三林京子(女優)

どの対談相手も個性的な人物ばかりで、味のある対談になっているが、これまであまりこのような場に登場することがなかった日本初の宇宙飛行士の毛利衛さんの素顔がのぞけたのは興味深かった。

宇宙飛行士になったことについて次のようなやりとりがある。

<毛利>たまたま運が良かったんじゃないですか、本当に。同時に子ども時代からの自分を見てくると、何かすごく期待されているわけでも、またそういう巡り合わせではないけれども、いろいろなものがちょっとしたぎりぎりのところでうまくかみ合ってきた。それで宇宙に行けたというのがわかりますね。ちょっとしたところをうまく生き延びてこられたのが影響していると思いますね。
<河合>自分から、これをやろう、あれをやろうというんじゃなくて、ちょっと待っているときに、うまく来て、来たのにすうっと乗ってという感じはありますね。(一部略)
<毛利>それは、確かにありますね。
(中略)
<河合>でも、大事なことは、それに応える力があったということですね。そういうのに応えられて、また次に応えられる。来たものをうまく受け止めてやれる力、環境をうまく受け入れる力と言ってもいいでしょうね。それがあったわけですよ。
<毛利>その性格がどこから来たかはわかりませんけれども、八人兄弟の末っ子ということもあったかもしれませんね。
(『子ども力がいっぱい』140~141ページ)

このあたりのやりとりが、この毛利さんの特長をもっともよく表していると思われたのだろう対談のタイトルは「環境をうまく受け入れる力」となっている。

インタビューを終えた後のコメントの中で、河合さんは
「このように与えられた条件を最大限に生かす毛利さん力がよくわかって感心した。これも本人に言わせれば「たまたま運がよかったんじゃないか」ということになるが、その「運」も受け止め方によって悪運になるかもしれない、ということをわれわれは知っておかなくてはならない」(『子ども力がいっぱい』144~145ページ)

「運」も力のない人にとっては、悪運になるかもしれないというひと言は、我が身を振り返っても思い当って耳が痛い。常に、自分の力を蓄え、磨いておかなければならないということだろう。

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