将棋第21期竜王戦七番勝負第4局、カド番の渡辺明竜王が逆転で挑戦者羽生善治名人を破り、一矢報いる
挑戦者羽生名人の3連勝で迎えた第21期竜王戦第4局は、11月26・27日と熊本県菊池市で行われた。
羽生名人にとっては、あと1つ勝てば、第16期竜王戦第4局(2003年11月27日)に敗れ森内俊之九段に竜王位を奪われて以来5年ぶりの竜王位奪還、竜王位通算7期での初の永世竜王位資格獲得、さらに永世七冠の達成と羽生名人にとっては、記録づくめの勝利となる。
一方、渡辺竜王にとっては、2004年12月28日第17期竜王戦第7局で森内俊之竜王に勝ち4勝3敗で竜王位を奪取して以降、4年間守り続けてきた将棋界最高のタイトル竜王を失い、順位戦B級1組在籍の渡辺九段となり、竜王位5期連覇の資格で手にしかけた永世竜王位が、消えてなくなる。
対局場となった菊池市のホテルには、羽生永世七冠の誕生を取材すべく多くの報道陣がつめかけていたに違いない。
第4局の将棋は凄まじい勝負になった。途中まで、羽生優勢・勝勢と言われた勝負を、渡辺竜王が粘り、大逆転で白星を手にしたのだ。最後、渡辺玉は自陣から追い立てられ、一旦羽生陣に入玉するまで逃走。その後、どこにも逃げ場がないところまで追い詰められる。
しかし、逃げる場所がないものの、羽生名人の持ち駒の歩と桂馬では詰まない。▲2七歩では、将棋の禁じ手である「打ち歩詰め」。桂馬で王手ができる▲1八桂では△1七玉と逃げられて詰まない。ここから数手で羽生名人の投了となった。
渡辺竜王にとってはこのシリーズ待望の初白星。これまでの3戦、渡辺竜王の実力が出し切れないままの3連敗のようにも見えたので、これで少しムードが変わるかもしれない。第4局では、羽生名人の手が震える局面もあったという。
第5局は来週の12月4日(木)・5日(金)と和歌山県の白浜町で行われる。
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コメント
この第4局は、凄いという言葉では表現できないほどの1局でした。6七金右の局面では羽生名人の4連勝でタイトル奪取は間違えないと思っていましたが、その後7九歩あたりから、訳の分からない形勢となり、7八飛車成りを甘受しても勝てるかという、羽生名人の読みが逆目に出たような気がしました。渡辺竜王も最後まで勝てるという見通しが立たなかったというのですから、、、
難解な戦いだったのでしょうね!!次の第5局が、さらに期待されます
投稿: トウショウファルコ | 2008年11月28日 (金) 21時35分