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2008年12月 5日 (金)

将棋第21期竜王戦七番勝負第5局、渡辺明竜王が相矢倉で羽生善治名人に攻め勝ち、2勝3敗

挑戦者羽生善治名人の3連勝でスタートした第21期竜王戦。勝負の内容も、羽生名人が力の差を見せつけるような勝ち方が多かったように見え、あっさり4連勝で羽生名人の竜王位奪回、竜王位通算7期での「永世竜王」位獲得、永世7冠制覇かと思われたが、絶対絶命のピンチに追い込まれた渡辺竜王が第4局に敗勢の将棋を粘り、大逆転。第21期竜王位の行方は、第5局以降に持ち越された。

第5局は12月4・5日に、和歌山県白浜町で行われた。前回、後手番で劣勢の将棋を逆転で生き延びた渡辺竜王。先手番を持つ、この第5局は、自ら局面を主導し、自分のペースに持ち込み、何とか勝負を6局以降に持ち越したい。

仕事もあり、リアル中継を見ることはできなかったが、改めて棋譜を再生して将棋の展開を追って見ると、トップ同士のタイトル戦に相応しい相矢倉の駒組み。先手の渡辺竜王は、まず、端攻めで羽生陣の突破を狙う。さらに自陣の飛車を見捨てて、羽生陣中央に「と金」を作り、羽生玉を上と横から挟撃する態勢を整えた。その後、羽生名人も隙を見て反撃を試みるが続かない。最後は、渡辺竜王が羽生玉の接して放った飛車打ちの王手に羽生名人の投了となった。



飛車を見捨てても、攻めの継続とスピードを優先した渡辺竜王の大局観が光った一局で、羽生名人に力は発揮させることなく勝利したという点でも、渡辺竜王にとっては会心の一局なのではないかと思う。

これでシリーズの戦績も渡辺2勝、羽生3勝となった。羽生名人にとっては、自らの先手番となる次の第6局で、勝負を決めてしまいたいところだろう。
次も渡辺竜王が勝ち双方3勝3敗となれば、第7局の手番は振り駒で決まる。ここまで、永世竜王誕生、永世タイトル7冠制覇がマスコミにとっての格好に話題だったが、羽生3連勝後の渡辺3連勝で迎える第7戦となると、また流れは変わるかもしれない。
これまで、七番勝負のタイトル戦で3連敗後、4連勝という記録はない。ここで、渡辺竜王が将棋界初の3連敗後の4連勝で、第一人者羽生名人との永世竜王位を賭けた七番勝負を制し、5連覇で初の竜王位を獲得すれば、「奇跡的な逆転劇で、羽生時代に風穴を開ける次世代のヒーロー誕生」というシナリオを作るだろう。

二人の先輩棋士である谷川浩司九段は『将棋世界』2008年12月号の自らの連載「月下推敲」第7回で、次のように書いている。

「今回、羽生が挑戦者になったことは渡辺にとってもよかったと思う。もし負けたとしても、相手が羽生であれば、また出直せばよい。勝てばこれは誰にも文句を言わせない。胸を張っての永世竜王である。(中略)今後の将棋界を占う意味でも重要なシリーズ。私もじっくり見守りたい。」(『将棋世界』2008年12月号99から101ページ)

渡辺竜王は、第4局について、自らのブログで

「投了直後は、何度も負けを覚悟した将棋なのに、なぜ自分が勝っているのかがわかりませんでした。改めて、将棋の深さを感じています。」(渡辺明ブログ2008年11月28日:竜王戦第4局。

と語っている。

第3局までは、相手が第一人者である羽生名人であり、さらにその羽生名人が今年名人・棋聖を奪取して四冠となり絶好調ということもあり、戦う前からその名前に負けているような雰囲気が感じられたが、この第4局の勝利が、単なる白星1つ以上の何かを渡辺竜王に感じさせたのではないかと思う。第5局の指し方は、あきらかに第3局までとは違うように見えた。

渡辺竜王が3連敗4連勝で新しい伝説のヒーローとなれるか、観戦する側には新しい楽しみが増えた。やはり永世竜王位を賭けて戦われるビッグタイトル戦は簡単には終わらない。

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