将棋第67期A級順位戦8回戦5局同時対局、郷田真隆九段は三浦弘行九段を破り6勝2敗、名人挑戦まであと1勝
10人のA級全員が7回戦を終わって全員3勝以上で確率的にはまだ全員に名人挑戦の可能性が残っているという史上まれに見る大混戦となったA級順位戦は、昨日(2009年2月4日)ラス前に5局同時対局を迎えた。
順位戦の他のクラスが1回戦から東京と大阪の将棋会館で全局同時に対局するのに対し、A級だけは、タイトルホルダーやタイトル戦の挑戦者になる棋士が多いこともあるのだろう7回戦までは、5局の対局全局が同時に戦われることはない。しかし、そのA級もラス前の8回戦と、最終の9回戦は10人の棋士が戦う5局が同時に行われれる。10人総当たりリーグ戦で、各棋士の対戦局数は9局。特に、最終9回戦まで挑戦、降級が決まらずにもつれることも多く、3月初旬の最終局は「将棋界の一番長い日」と呼ばれる。
8回戦の組み合わせは次の通り
郷田真隆九段(5勝2敗)-三浦弘行八段(3勝4敗)
森内俊之九段(4勝3敗)-佐藤康光棋王(4勝3敗)
木村一基八段(4勝3敗)-深浦康市王位(4勝3敗)
丸山忠久九段(3勝4敗)-谷川浩司九段(3勝4敗)
藤井 猛九段(3勝4敗)-鈴木大介八段(3勝4敗)
トップを走る郷田九段が勝って6勝2敗としても、森内九段vs佐藤棋王の4勝3敗どうしの対戦があり、どちらかが5勝となるのは確実のため最終局まで名人挑戦者は決まらない。
私が応援する郷田真隆九段は、三浦弘行八段との対戦で手番は後手番。対戦戦績では郷田九段が10勝5敗でリードしているが、昨年の第66期順位戦では、6回戦まで郷田九段、羽生二冠、木村八段、三浦八段が5勝1敗で並んでいたが7回戦の郷田vs三浦戦で、郷田九段は三浦八段に苦杯をなめ、挑戦者レースから一歩後退した。今期はその借りを返したいという思いも強いに違いない。
勝負は後手の郷田九段が4手目3三角戦法という最近の流行戦法を採用。しかし、三浦八段は動揺することなく淡々と駒組みを進め、ネット中継の「名人戦棋譜速報」の開設でも控え室の評判では60-40で三浦有利とのコメントだった。素人目に見ても、郷田九段は敵陣に打った角を自陣に引き「馬」を作ったものの、銀冠でがっちり玉を守る三浦陣は堅く、郷田九段は有効な攻め手を欠いているように見えた。局後の感想戦でも、郷田九段は作戦負けを自覚、三浦八段は三浦八段は自分が優位と思っていたようだ。
三浦八段の攻めを郷田九段がしのぎつつ、反転攻勢を狙うという展開になったが、三浦八段が郷田陣に打ち込んだ銀と角が厳しく迫る。郷田九段も合間を見て、三浦陣に手がかりを築こうとするがなかなか続かない。
しかし終盤で郷田九段は自玉の玉頭を狙う三浦八段の歩打ちを手抜きをして、三浦陣に飛車金両取りのに銀打ちを放ち、攻め合いに出る。郷田一刀流の面目躍如である。斬り合いの中で、三浦八段も郷田九段の的確な受けに攻めあぐむ。一方、郷田九段はいつの間にか三浦玉の上部からは桂馬、横からは馬と銀で挟撃する体制を作り上げ、最後は一気に寄せ出て三浦八段が投了。130手に及ぶ激闘に幕が下りた。郷田九段の鮮やかな逆転劇であった。
全5局の結果は、次の通り。
郷田真隆九段(6勝2敗)○-●三浦弘行八段(3勝5敗)
森内俊之九段(4勝4敗)●-○佐藤康光棋王(5勝3敗)
木村一基八段(5勝3敗)○-●深浦康市王位(3勝5敗)
丸山忠久九段(4勝4敗)○-●谷川浩司九段(3勝5敗)
藤井 猛九段(4勝4敗)○-●鈴木大介八段(3勝5敗)
今期のA級順位で4位の丸山九段、6位の藤井九段は4勝目をあげ残留が確定、順位8位で勝ち越しの5勝目をあげた佐藤棋王も残留確定である。
8回線終了時の成績順と次回最終局の対戦相手は以下の通り
①郷田九段6勝2敗(今期A級順位3位)-木村八段
②木村八段5勝3敗(同5位)-郷田九段
③佐藤棋王5勝3敗(同8位)-藤井九段
④森内九段4勝4敗(同1位)-三浦八段
⑤丸山九段4勝4敗(同4位)-深浦王位
⑥藤井九段4勝4敗(同6位)-佐藤棋王
⑦三浦八段3勝5敗(同2位)-森内九段
⑧谷川九段3勝5敗(同7位)-鈴木八段
⑨鈴木八段3勝5敗(同9位)-谷川九段
⑩深浦王位3勝5敗(同10位)-丸山九段
郷田九段vs木村八段戦が挑戦者争いの最重要カード。郷田九段が勝てば単独1位で名人挑戦が確定。木村八段が勝てば、プレーオフとなる。
佐藤棋王は、藤井九段に勝ち、郷田九段が敗れた場合、郷田・木村・佐藤に3人のプレーオフとなる。
降級争いでは、谷川九段vs鈴木八段戦の負けた方が3勝6敗で降級。深浦王位は丸山九段に敗れれば3勝6敗で降級、勝った場合は4勝5敗となるが上位の三浦八段が敗れた場合のみ残留となる。三浦八段は森内九段に勝てば残留、負けると3勝6敗となり、深浦王位が勝った場合は今期の順位が2位と高いが、成績順では9位となり降級となる。
結局、9回戦5局のいずれも、挑戦か降級がかかる戦いとなっており、2009年の「将棋界の一番長い日」も目が離せない戦いばかりとなった。
郷田九段には、最終戦の木村九段戦にも勝利して、単独1位で名人挑戦権を決めてほしいものだ。
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コメント
ミクシィから参りました。
以前から読ませていただいておりましたが初コメントさせていただきます。
今期の郷田先生は調子も良いようですし、是非、挑戦者になって、名人位を奪取してほしいですよね。
投稿: ヨシ | 2009年2月10日 (火) 15時21分