将棋第67期名人戦七番勝負第4局、双方居玉の戦いを後手番郷田真隆九段が制し、2勝2敗のタイに
昨日(2009年5月20日)・今日(5月21日)2日間の和歌山県の高野山・金剛峯寺で行われた将棋の第67期名人戦第4局は、後手番の挑戦者郷田真隆九段が羽生善治名人を破り、2勝2敗のタイとして、勝負をふりだしに戻した。改めて第5局からの3番勝負で、早く2勝をあげた方が、第67期の名人となる。
第4局の将棋は、第3局に続き、双方、飛車先の歩を伸ばす相掛かりの戦型に。後手の郷田九段がいったん飛車先の歩を取ったあと、飛車を8五に戻し、第3局と逆の展開となった。第3局では、お互いに角道を開け、先手の郷田九段が横歩取りと展開したのに対し、第4局では、角道を開けないまま飛車先の歩を突き合った点に違いがある。
1日目、郷田九段の26手目△7五歩に2時間32分の長考を見せると、対する羽生名人も応手に2時間2分をかけ、27手目を封じて1日目が終わった。郷田九段の△7五歩は、羽生名人の角道を開けさせず、大駒の角の動きを封じる一手。
その後、郷田九段は飛車に銀や桂馬を絡めた攻めを敢行、主導権を握った。お互いの玉は、▲5九玉、△5一玉の定位置から動かぬ居玉のまま戦いが始まった。
郷田九段の銀や桂馬が前線に進み、羽生玉を守る金銀を玉から引き離す。閉じていた郷田陣の角道も開き、羽生陣への成り込みを狙う。羽生名人も2筋に閉塞していた飛車を▲3四飛と3筋に回し郷田陣の守りの要の「金」取り。素人目には、対応が難しく見えたが、郷田九段は慌てることなく「金」の下に底歩を打ってしのいだ。羽生名人に桂馬は取られたものの、郷田九段の角が△9九角成と香車を取って「馬」となり羽生陣に大きな「くさび」を打ち込んだ。
さらに、その取った香車を△4七香と打ち込み、「金」取り。金を逃げさせて、手番を握ったまま、3四に展開した羽生名人の「飛車」を狙う△3三銀。郷田一刀流の攻めが続く。羽生名人は自陣に打たれた小骨の香車を▲4七金と取ったが、△3四銀と飛車を取られ、大きな駒損に。
郷田九段の波状攻撃に、2枚の「金」が3段目に上ずり、羽生陣の2段目にいっさい駒がなくなったところで、郷田九段は△2八飛と飛車を打って羽生玉の逃げ道を遮断。▲4八金と上ずった金を一段下げ、飛車の横効きを遮断したものの、今度は△7七馬と、先ほどの馬を引かれ「王手」。その後、羽生名人が形作りと、まさかのトン死狙いで▲5二銀打と王手をかけたが、郷田九段は冷静に対応し、郷田玉に詰みはなし。その後の郷田九段の86手目△8六銀の王手を見て、羽生名人が投了した。
居玉のままだった双方の玉は、郷田玉が84手目に王手を避けるため△6一玉と最後の最後にようやく1マス動いたのに対し、羽生名人の玉は投了まで▲5九を動かぬまま投了となった。
改めて振り返ると、郷田九段の攻め駒の角、銀、桂はきれいにさばけ、さらに攻撃の途上で相手から取った駒を次々と攻めに投入していくという効率のよい展開で、羽生名人にこれといった反撃の機会を与えずに攻めきった。郷田九段にとっては、前回第3局の最終盤での逆転後の錯覚による敗戦の痛手を払拭する会心の勝利であろう。
中盤からの流れるような攻めのながりを見ると、羽生名人の61手目の反撃手「▲3四飛」に対してまともに斬り合わず、いなし・かわして、羽生名人の攻めを途切れさ、その後の郷田九段の連続攻撃につなげた底歩「△3一歩」が、勝利につながる一手だったように思う。
毎回、序盤で郷田九段が長考をし、終盤に形勢不明のねじりあいに持ち込むという今シリーズの展開は、全体と通して見れば郷田九段のペースのように見える。
郷田ファンとしては、この第4局の流れを引き継いで、第5局・第6局と郷田九段が連勝し、4勝2敗で郷田新名人が誕生することを祈りたい。
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